唯と梓の部屋

□大好きなひと。
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「ねぇ、唯さん?」
「なに?梓?」
その日、梓は私の部屋に遊びに来てた。
二人でソファに座って、紅茶を飲んでいた。
ムギちゃんのほどじゃないけど、そこそこおいしい紅茶だった。
なのに、梓は紅茶のことは全く触れないで。いきなり聞いてきた。

「唯さんはどうして私のこと、好きになってくれたんですか?」

ぶーっ。
私の紅茶がきれいな霧になった。
「あーもう。ダメじゃないですか。」
梓がティッシュを出して紅茶の飛んだあたりの床を拭いてくれる。
「だ、だだだ、だって。なんで突然、そんなこと聞くの???」
そりゃ、紅茶も吹くよ。突然すぎるよ。キラーパスだよ。
「聞いちゃダメ、ですか?」
梓は私のこと、よく天才とか天然とか言うけど。
他人のこと言えないと思うなぁ。
「だって。聞いた事なかったですよね。」
梓は私の胸にぽすん、と飛び込んできて。つぶらな瞳で見上げてくる。
そんな風に見上げられたらドキドキするよ。止まんないよ?
「夏フェスの時は遠くから聞こえる音楽を聴いてるうちにいい雰囲気になって、そのままキスしちゃったでしょ?」
「でもすぐ他の皆さんが来ちゃったから、そんな話をする時間がなくって。」
そう、だね。愛してる、っていうヒマもなかったよ。
「卒業旅行で初めてはっきり愛してるって言われた時は、お互いに初めてのえっちだったから全然余裕なくって。」
「・・・あと、唯さんがケモノみたいに一杯求めてくるから。よけいに私、余裕なかったです!」
「ケ、ケモノって・・・そ、そこまでじゃないでしょ?」
「そう思います?」
下からきゅってにらみつけられる。
「えっちで立て続けに何回も真っ白にされちゃって。」
「キモチ良すぎるからちょっと休ませてほしくって。」
「『もう許して』って言ってるのに。」
「『ううん!私、全然ガマンできなーい!』って言ってむしろ襲い掛かってくるでしょ?」
梓はびし!と人差し指を私の鼻先に突きつけて。
「それを!ケモノみたいって言うんですっ!」

・・・。私は素直に土下座した。
「大変!申し訳ありませんでした!」
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