唯と梓の部屋

□6月の花嫁
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「ねぇねぇ、梓ってさーぁ?」
大学にもようやく慣れてきて。
人見知りの私にも純と憂以外の他愛もない言葉を交わす友達ができて。
そんなある日の昼下がり。
学食で二人でごはんを食べている時、まるで「今度、遊びにいこーよ?」って言うような口調で彼女は話しかけてきた。

「あの軽音部の先輩と付き合ってんの?」

・・・ぶーーーっ!
私は驚いて飲んでいた紅茶を盛大に噴き出した。

「あーもう、きったないなぁ。」
「ごっ、ごめん。だって変なコト、さらっと聞くから。」

『変なコト』。
私は懸命に紅茶をふき取りながら、思わず出た自分のセリフに頭が冷たくなる思いがした。

「梓とあの・・・平沢先輩、だっけ?付き合ってるんじゃないの?」
彼女はじっと私の目を覗き込んで。
私は懸命にうろたえているのを隠しつつ。

「・・・な、ななな、なんでそんなコト言うの?」
・・・うろたえてるの、全然、隠せてないっ!
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