さわ子と紬の部屋

□花より団子!
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「花火大会・・・か。」
私は新聞受けに入っていた花火大会のチラシを見ながらつぶやいた。
そう言えば、ムギがいつか軽音部のみんなで夏祭りに行って楽しかったって言ってたっけ。
「あのね、あのね、ヤキソバがすっごくおいしかったの!」
「かき氷食べるとね、舌が変な色になっちゃうの。知ってました?」
「花火がどーん!って。すごく綺麗だったぁ・・・」
ふむ。花火大会、悪くないかも。

どどーん!空に大輪の花火。
『・・・綺麗ですね。花火。』
しっとりとした微笑みで、ムギが微笑む。
『連れて来てくれて・・・ありがとう。』
ああ。花火に照らされたその笑顔は、今年も雲に逢瀬を邪魔された織姫もかくや。
『ええ、ほんとに綺麗。』
私は空に咲く花には全く興味がなかった。
ムギはそのうち、じっと自分を見てる私に気付いて。
『・・・もう。さわ子さんったら、どこ見てるんですか? 』
ちょっと頬を紅く染めて目を逸らす。
私はそのムギの頬にそっと手を添えて。
『ごめんなさい。ちょっと目が離せなくなっちゃったの。』
逸らされたムギの顔をこっちに引き戻す。
『ほら、やっぱり。花火よりも綺麗な花がここに咲いてるから。』
ムギは一層真っ赤になって逃げようとする。
『や、やだ。・・・さわ子さんったら何言ってるの?』
私は逃げるムギを捕まえて一番男前の顔で。
『ムギ。私は本気よ。』
『え?・・・さわ子さん?』
ムギの柔らかいカラダをぐっと抱きしめてやる。

『愛してる、ムギ。どうしようもないくらい。』

『さ、さわ子さん・・・』
ムギの私を抱く腕にもぎゅうっと力がこもって。
『嬉しい・・・私も。』
ちょっと涙を浮かべて私の目を覗き込んで。
『私もあなたのことを愛しています。・・・大好き。』
私はついっと顎を上げさせて。
『花・・・散らしちゃっても、いい?』
ムギはうっとりとした瞳で。
『もう。・・・いいですよ。あなたの好きにしてください。』
空に花火。重なる2人の影。

「・・・いいっ。いいわっ。花火大会、最高っ!」
私は一人胸を抱いていやんいやんと悶えて。
「ふ、ふ、ふ。見てなさい、ムギ。骨抜きのふにゃふにゃにしてあげるっ!」
拳を握り締めて、この完璧な計画の成功を誓った。
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