さわ子と紬の部屋

□初めての、コト。
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私はニヤニヤしながら。
「やだ、クリスティーヌ、怒った?ねぇ、こっち向いてよ。クリスティーヌちゃーん。」
無邪気に彼女にしなだれかかった。
彼女は頬を真っ赤に染めて。
「うっ、うるさい。さぁ、練習。練習するぞっ!」
私を振りほどく。
「ああん、もう?ハヤいのね、紀美サンってば。」
紀美は私をにらみつけて。
「ク・リ・ス・ティ・ー・ヌ!」

次のライブで。
「お前ら、愛してるぜーっ!」
ライブもクライマックス。
私は紀美の方を見つめた。
紀美は急に見つめられて、きょとん、としてた。
カクテル光線の下の紀美・・・クリスティーヌは。
ほんとにセクシーで。綺麗で。
・・・可愛かった。
私はいたずらっぽく笑って。
「愛してるよ!クリスティーヌ!」
愛を込めてウィンク。
紀美はびっくりしたような顔。
「え?・・・な・・・ばかっ!」
真っ赤になって顔を伏せる。
紀美はマイクを切って。
「こ、こんなとこで言われたって・・・嬉しくないぞっ。」
目をそらしたまま、私だけに聞こえる声でつぶやいた。
「え?嬉しく・・・って?」
ドカドンっ!
ボーンボーン。
すかさず後ろからドラムとベースが催促。
私はそっちを振り向いて。
「あーはいはい。デラとジェーンも愛してるよ!」
紀美は相変わらず私と目を合わせず。
「・・・くだらねーコト言ってねーで早く次の曲行けっ!」

・・・・・・・・・
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