さわ子と紬の部屋

□罠にかけられて
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突如、ホールの照明が薄暗くなって。
ムード溢れる音楽が流れ始める。
ダンスタイム、らしい。
「Wonderful Tonight・・・」
エリック・クラプトンの名作。
It's late in the evening; she's wondering what clothes to wear.
それは夜遅く。彼女は何を着ていこうか迷ってた。
She'll put on her make-up and brushes her long blonde hair.
彼女はお化粧をして。長いブロンドの髪に櫛を通す。

And then she asks me, "Do I look all right?"
そして彼女が「ねぇ?どこか変じゃないかしら?」って聞くから。
And I say, "Yes, you look wonderful tonight."
僕はこう答えるんだ。「今夜の君はとても綺麗だよ。」って。

私達は見つめ合って。
「・・・とても綺麗よ、ムギ。」
「嬉しい、さわ子さん・・・。」
小さな声で囁き合う。
そして現実に引き戻される。
「踊っていただけますか、紬さん。」
一人の男性がムギの手を取って。
私はここで、罠にハメられた事に気づいた。
私が着ているのはドレス。
同じドレスを着ているムギと踊るのはサマにならない。
ムギは差し伸べられた男性の手を振りほどく事はできず。
「・・・は、はい。」
私の方を振り返りながら、男性に連れられていく。
・・・しまったっ。こんな事なら自腹切ってでもタキシードにしておいたのにっ!
私はここが敵地であることを思い知らされた。
私にも手が差し伸べられて。
「踊っていただけますか?」
残念ながら、私は断り方を知らなくて。
「え、ええ・・・」

We go to a party and everyone turns to see
僕達がパーティに行くと。誰もが振り向いた。
This beautiful lady that's walking around with me.
そりゃ当然さ。こんなに美しい人が僕のそばを歩いているんだ。

And then she asks me, "Do you feel all right?"
それなのに彼女は聞くんだ。「ねぇ、気を悪くしてない?」
And I say, "Yes, I feel wonderful tonight."
だから僕は言うんだ。「当たり前さ。最高の気分だよ。」

最低の気分だった。
目はいつもムギを追いかけて。
・・・ああっ。腰に手を回すんじゃないっ!
相手の男の一挙一動にハラハラしていた。

I feel wonderful because I see the love light in your eyes
僕が最高の気分なのは、君の瞳に愛の兆しが見えるからだよ。
And the wonder of it all, is that you just don't relize how much I love you.
そして全く不思議なことに君は僕がどんなに愛しているか分かってないときてる。

・・・分かってないだろっ!
こら、近いったら!
キスなんてしたらただじゃおかないから!
私はムギばっかり見てたせいで。
盛大に相手の男性の足を踏んづけた。
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