さわ子と紬の部屋

□秋霖 accarezzando
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私は恐る恐る黒いバイブをつまみ上げて。
くんくん、と匂いを嗅いでみる。
むせ返るような、濃厚なさわ子さんの匂い。
えっちな・・・オトナの女の匂い。
「さ、さわ子さんったら・・・」
あ、だめ。
私はさわ子さんの匂いに馴らされていて。
背筋がぞくぞくってして、女の子のとこ、じゅんってなる。
「・・・えっち。」
私はぺろ、とその黒いバイブを舐めて。
「さ、さわ子さんがイケナイんですからね。」
そっとさわ子さんを起こさないように、ベッドサイドのテーブルに抜き足差し足。
チラチラとさわ子さんの方を伺いながら、音を立てないように、引き出しを開けてみる。

「あ・・・あった。」

革でできたそのバンド。
「ど、どうやってつけるのかしら。えっと、こっちが前、よね。」
えっちでさわ子さんにされる時は、たいがいメロメロにされちゃってるから、どうやって着けていたか、分からない。
私はああでもない、こうでもない、とほとんど紐のようなそのバンドをなんとか、腰に巻きつけた。
パチン、パチン、とその大きなバイブをボタンで取り付けると。
「わ、わぁ。こんな感じなんだ。」
下腹がぐっ、と押されて、なんだかたまらない気持ちになる。
私はちら、とさわ子さんの方を見て。

「こ、こんなので・・・さわ子さんの中に入れちゃったら。」

『たっぷり犯してあげるわ、ムギ。』
私の中に入ってくる時のさわ子さんの野獣のような瞳。
私に覆いかぶさってくる時のさわ子さんの興奮しきった息遣い。
そして・・・私の中を貫いている時のさわ子さんの蕩けそうな表情。

「・・・キモチ、いいの、かな。」

私はセクシーな寝姿を晒したままの恋人の姿を眺めて。
そーっと、その上にのしかかろうとする。
・・・ぎし。
ベッドが大きな音を立てて軋んで。
私はぴたり、と動きを止める。
「し、しーっ、しーっ・・・」
そっとさわ子さんの様子を伺う。
さわ子さんは、すやすやと安らかな寝息を立てていて、気付いた様子は全くない。
私はほっとため息をついて。
さわ子さんの女の子のとこにそっと指を伸ばす。

・・・これで、目を覚ましちゃったら、やめよう。
・・・これで、目を覚ましちゃったら、やめよう。
心の中で何度もつぶやいて。
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