さわ子と紬の部屋

□えすとえむの恋愛事情
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「・・・ひまねー。」
「ひまですねー・・・」
私は2人の完全に飽きて興味を失った声を聞きながら。
「だから、言ったじゃない。そんなコト、あるわけないって・・・あれ?」
私は草むらの影に動くものを見つけて。
「あれ?なんだろ。」
「あれ?」
「あそこの倉庫の影。ほら、また動いた。」
「あ、ほんとだ。なんだろ。」
「・・・見に行ってみよっか。」
私は単なる好奇心で、電話で直に呼びかける。
「ラジャー。作戦変更ね。」
直が電話を片手にこちらに親指を立ててサインを送ってくるのが見える。
「あああン、さわ子さんを見張るのも忘れないでね?」
電話の向こうでおねぇちゃんがもどかしそうに身悶えする。
「はいはい。そっちは全然動きないから、大丈夫っ。」
私は通話しっぱなしのスマホをそっとポケットにしまうと、そろそろ、と倉庫の方に向かった。

「あ、直。なんだったー?」
多分犬かなんかだろう。
私はそう予想して、気軽に先に到着していた直に声をかける。
「しぃっ!」
直が私の方を向いて唇に指を当てて。
ちょいちょい、としゃがむように合図する。
そろり、そろり、と身をかがめて直のところへ。
直は自分と身を入れ換えて、まっすぐにそちらを差して、無言でそれがなんであるか私に告げる。

携帯の向こうでおねぇちゃんが何か叫んでいるのに気づいて。
私は直の差す方を確認しながら携帯に出る。
「ヴァイオレット。ストレート。応答せよ。・・・ねぇねぇ、なんだったの?」
「た、大佐。ターゲット確認。」
震える声で、私はそこで見たものを告げる。
「純先輩と憂先輩です。お二人は・・・」
これをなんと表現したものだろうか。
「・・・お二人はえっち、しています。」
私はちょっと迷って、見たままを伝えた。

純先輩と憂先輩は校舎から影になるように倉庫を背にして隣り合うように座って。
純先輩は右手、憂先輩は左手をスカートの中に忍ばせて、熱いキスを交わしてる。
「・・・ひぃ、んっ・・・あっう・・・ふぅん・・・」
堪えきれないあえぎ声が伝わってくる。
「あらあらあら。学校でしちゃうなんて、純ちゃんも憂ちゃんも大胆ねぇ。」
「で、ですよね。学校で、しかも外でなんて・・・」
憂先輩がくいくい、って腰をせり出して欲しがった弾みで、スカートが捲れて。
真っ白い先輩のふとももが露わになる。
「うふふふ。憂ちゃん逹、ガマンできなかったのねー。」
「ガマン?」
私はうわの空で電話に応対しながら。
背中でさっきから何も話さない直の気配を探る。
・・・どんな顔で見てるんだろ、直。
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