さわ子と紬の部屋

□はじめての教育実習 Love & Roll!!
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・・・いやいやいや。

それは四六時中、一緒にいられるカップルじゃなくて年に一度しか逢えないカップルのする事だろう。
四六時中、逢えるのにそんなに濃ゆいこと、してたら死んじゃうよ?
「ムギ、それは・・・」
だけど、ふんす!とか言って握りこぶしを固めてる恋人には言い出せなかった。
「・・・楽しみね。」
・・・ちくしょう、リア充どもめ、末永く爆発しろ。
私は心の中で律澪、唯梓、純憂の6人に軽く呪いの言葉を吐きながら、にっこりと微笑んだ。
「ほんとは音楽の教職課程にしたかったんだけど。」
ムギは照れくさそうにえへへ、と笑って。
「桜高、音楽の先生は一人だから、一緒の教科にしちゃったら、一緒の学校になれなくなっちゃう。」
「・・・一緒に桜高の先生になれたら、嬉しいな。」
夢見るようにムギがつぶやく。
「ほんとは、音楽の授業、全部一人でやるの、大変だからもう一人欲しいとこだけど。」
私はため息をつきながら。
「一緒の学校で働けたら、ほんとに素敵よね。がんばって。」
優しく私の恋人にキスをした。
ムギはくすぐったそうに身を縮めて。
「あのね。朝、寝てるさわ子さんにおはようのキスをして。寝ぼけてるさわ子さんに抱きしめられて、ベッドに連れ込まれちゃったりして。」
真っ赤になっていやんいやん、ってする。
・・・なんという誘い受け。

「昼休みとか、さわ子さんがガマンできなくなって、人気のない校舎の影で人目を気にしながらそっとキスするの。でもそのうち、みんなにバレちゃって、いつのまにか『桜高公認カップル』とか呼ばれちゃって。」
昂奮してぴょんぴょん、って跳ねてる。
・・・いや、バレちゃ、だめだろ、バレちゃ。

「それで、学校が終わったら、二人でお買い物をして、晩ごはん、何にしようか、なんて言って、ムギの手料理も美味しいけど、ムギ本人を早く食べたいな、なんて囁かれちゃったりして、きゃーっ、きゃーっ・・・」

・・・おーい。戻ってこーい。
でも。
二人で一緒に暮らす、かぁ。
もう真っ暗な部屋に一人で戻ってこなくても良くなる、ってこと。
浮かれるムギに呆れるフリをしながら。
私の頬も自然に緩んでいた。
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