律と澪の部屋

□お熱いのが好き!
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よーし、うまい事、取り繕った。
マジメな澪はもじもじとカラダをくねらせて。
「プロは・・・大勢の前で演奏しなきゃいけないから嫌。」
澪は蚊の鳴くような声でぼそぼそと答える。
「あ、あのね、律のおよめさん、がいいな。」
そして熱っぽく語りだした。
「誰も知らなくていいから、2人だけの結婚式挙げて、どんなとこでもいいから、2人で住んで、あっ、表札は『田井中 律 澪』ねっ、子供はできたら2人くらい欲しいんだけど・・・」
澪はちょっと寂しそうに、ふふって笑う。
「・・・子供は無理だから、律が一緒にいてくれたらそれでいい。」

・・・何てこと、言うんだ、こいつ。
私は嬉しくて踊りだしそうなのをぐっとこらえて。
「わ、分からないぞー?医学の進歩を甘く見るなよー?」
でも顔が自然にかぁって熱くなって、ふにゃってにやけてくる。
・・・あーあ。澪を骨抜きにする眼差し、台無しじゃん。
私はドラムセットから身を起こして。
「・・・でも嬉しい。澪の将来に私がいて。」
そっとポニーテールにしてる澪の髪を撫でる。
澪は気持ちよさそうに擦り寄ってきて。
「当たり前だろ。私、もう律なしじゃいられない、よ?」
「私も。澪がいない人生なんて考えられない。」
私達は見つめ合って。
「律・・・」
「澪・・・」
熱く唇を重ね・・・
「えー、コホン。ゴホンゴホンゴホン。」
ムギの不自然な咳払いに私達は慌ててお互いにそっぽを向く。
「・・・お茶が入りましたよー?」
何となくムギの声にトゲを感じる。
「全く・・・律っちゃんと澪ちゃんは放っとくとすぐに2人だけのラブラブ時空を発生するんだから!」
唯はそう言ってぼふっとソファに体を投げ出して。
「あーあ。早く梓が入ってこないかなー。そしたら、私も・・・むちゅちゅちゅちゅー!」
架空の梓にめちゃくちゃなキスをする。
「ああん、ずるいー。そしたら、私だけ、相手がいなくなっちゃう〜。」
ムギは一瞬トレードマークの眉を寄せて。
「でも、女の子が仲良くしてるの、可愛いかもー・・・」
うっとりとしてつぶやく。
私と澪は、恥ずかしくって真っ赤になってうつむくばかり。
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