律と澪の部屋

□あふれちゃう・・・
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「あれ、律?早いな、まだ時間前だよね?」
私は澪の声にほっとして、顔を上げる。
「う、うん。楽しみ過ぎて早く来ちゃった・・・て、澪?」
私に駆け寄ってきた澪は、白のカッターシャツにストライプが入ったグレーのパンツスーツ。
長い黒髪をポニーテールにまとめてる。
「ちぇ。私の方が先に来て待っている予定だったのに、なぁ。」
悔しそうに言う澪。
私にとってそんなコトは問題じゃなくて。
「み、澪・・・今日はやけにダンディーだね?」
澪はくすって笑って。
「びっくりした?」
そしてすっと膝まづいて。
「きっ、来てくれてっ。ありがとう。うれしいよ。」
私の手を取ってキス。
・・・何回も練習したんだろうな。
声がちょっと裏返っていたけど。
「きっ、今日はっ。私が律をエスコートするからっ。」
私のナイト様は真っ赤になって直立不動。

「・・・はい。よろしくお願いします。」

いつもだったら、大笑いしてからかうとこだけど。
澪が今日のために一生懸命考えてくれたんだって思うと、私はすごく幸せなキモチになった。
「ふふっ、澪。似合ってる。かっこいいよ?」
私がちゅ、ってほっぺにキスすると。
「り、律こそっ。反則だぞっ。そんな可愛いドレスで、前髪、下ろして来るなんてっ。」
澪は私をきゅ、って抱きしめて。
「・・・すごく可愛い。ガマンできないくらい。」
真っ赤な顔で唇にちゅ、って触れるだけのキス。
「んっ・・・そんな、可愛いなんて。」
あんまりにも澪がかっこよかったので。
「・・・秋山さんたら、こんな人前で・・・私、恥ずかしいっ。」
私は照れ隠しにくねくねとカラダをくねらせた。
澪は、はっとして。
「あっ・・・ご、ごめん。」
真っ赤になって謝る。
「謝るとこじゃないよ、そこ。」
私は、ふふって笑って。
「嬉しい!今日はエスコートしてくれるんでしょ?」
澪の左腕に抱きついた。
思わず私の方を見る澪の唇をちゅ、って不意打ち。
「・・・連れてって?」
澪はいつもと調子の違う私に戸惑って。
「う、うん。・・・こっち。」
真っ赤になったまま、唇を抑えて歩き出した。
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