律と澪の部屋

□あなたにお熱。
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私が悶えている間に。
いつの間にか律はすやすやと寝息を立てていた。

「・・・何やってんだろ、私。」
そっと握っていた律の手をほどいて。
寒くないようにその手を布団の中に入れてやる。
安心しきったような安らかな律の寝息。
・・・ガマンできて良かった。
私は、ほー・・・っとため息をついて。
そうだよ。風邪で弱ってる恋人を無理矢理襲っちゃうなんて。
そんなの、私のキャラじゃないよ。
「お前が可愛すぎるからいけないんだぞ。」
そっとほっぺに、ちゅ。
律はうにゅにゅと口の中で何かをつぶやくだけで、一向に起きる気配がない。
私は楽しくなって。
「ふふっ。分かってんのか、このやろー。」
律の可愛いほっぺにちゅ、ちゅ、ちゅってキスの雨を降らせた。
「・・・それにしても、よく寝てるな。」
ここは律の部屋。
あたりに誰もいるはずはないのに。
私はそっと辺りを見渡して。
「ちょっとだけ・・・唇にキス、しちゃおう、かなー・・・」
ちゅ。
律の柔らかい唇に重ねるだけのキス。
「早く良くなってね、律っ。」
ちゅ。
ガマンできなくて、もう一回キス。
良くなったら、いっぱいいちゃいちゃしよう。
「うー・・・柔らかいな。・・・よく寝てるし、もう一回くらい、いいよね。」
ちゅ・・・ちゅう。
いつもよりちょっと熱い律の唇をたっぷり堪能して。
「・・・ごちそうさま。」
律がちょっと微笑んだような気がして。
私は幸せになって、可愛い律の寝顔をしばし眺めていた。

「う・・・ン・・・」
から、と中の氷が音を立てて、氷のうが律の額から落ちる。
・・・やっぱりひえピタの方がいい、かな。
私は自分の部屋に買い置きがあるのを思い出して。
「・・・いい娘にしてるのよ、律。」
もう一度律の髪を撫でてやって。
何回か、振り返って。
律が寂しそうな目で見上げてないか、確かめつつ律の部屋を出た。
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