律と澪の部屋

□いつもずっともっと一緒の・・・
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なんとか彼女達をあしらって。
ぱたり、と扉を閉めて、そばのソファに積まれている多くのプレゼントの山に積み上げる。
かさ。

そして鉛のような沈黙。

悪い事には扉の外から「やっぱり田井中さんってかっこいいー!」「普段は意外に渋いのねー!」「ステージとのギャップが萌えるわ!」なんて声が聞こえてくる。

・・・あちゃあ。

こちらに背中を向けていた澪はまたひくん、ってなって。
「・・・良かったな。ファンは大切にしないといけないぞ?」

「・・・ぶはぁっ。」
息を潜めていた純がついに我慢できなくなって。
「あああ、あの。わっ、私、用事を思い出しちゃって、その、お先に失礼しまーす。」
憂ちゃんを連れて、そそそ、と退散する。
唯がすかさず小声で、澪に聞こえないように注意しながら「えー?ずるいよ、純ちゃん。」なんてぶーたれてる。
「・・・さ、さーて。練習も終わったし、そろそろ帰ろっかなー。」
晶がわざとらしく伸びをして。
「あ、あ、私も課題あったんだ、確か。うん。・・・あ、幸も。幸も、よね。」
菖と幸がそっと私に「ごめん!」って謝って。
早歩きで部室を出ていく。

私だって、逃げ出したい。
この空気をなんとかしようとして。
「あ、あはは。困っちゃった、な。どうやって誕生日調べたんだろうな?」
努めて明るくつぶやいてみた。
聞いていたムギが真っ青になって。
『律っちゃん、それだけは言っちゃダメ!』って表情で伝えてくる。

澪はまたにっこりと微笑みを顔に貼り付けて。
「すごいな。人気者で。うらやましいぞ、律。」

ぎしり、と空気が凍り付いて。
また鉛のような沈黙。

・・・こんな雰囲気は初めてじゃない。
そう、あれは高校の。球技大会の時のこと。
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