律と澪の部屋

□私達だけのルール。
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私はこっそり後ろから近づいて。
「純ちゃん。だめだよぅ。えっちな声、出ちゃうぅ。」
ぼそぼそと2人の耳元で囁く。
「ぴぃっ・・・」
2人は揃って驚いて悲鳴をあげる。
私はにしし、って笑って。
「お前ら、いっつも仲いいなー。」
ソファの背に頬杖ついてからかう。
「えへへ。ごっつぁんです!」
全く悪びれない純の後ろに真っ赤になった憂ちゃんが隠れる。
私は立ち上がるとみんなを見渡して。
「おーし。今日はみんなそれどころじゃなさそうだから、練習中止にするぞー。」
「ほんとっ!」
がたた、と椅子を蹴るようにムギが反応して。
「ありがと、律っちゃん!恩に着るわ!あ、これ友チョコ。」
どう見ても本命チョコみたいな高級ベルギーチョコレートの包みを渡してくる。
慌ただしく荷物をまとめて部屋を出て行く。
「・・・もしもし、斎藤?作戦変更よ。例のアレ、さわ子さんのお部屋に運んでおいて。そう。倒さないように気をつけて。」
・・・どんなチョコ、贈るつもりなんだろう。

「よしよし、あーずにゃん、行こう行こう。愛してるからねー。」
唯が梓に後ろから抱きついて追い立てるように出て行く。
梓は、まだ眉を逆ハの字にして。
「誤魔化さないでくださいっ!私、まだ納得してませんからねっ。・・・んっ、ちょっ、ふ、むぅっ・・・」
噛み付きそうな梓の唇を唯が塞いで。
「・・・あっ、うあ、はんっ・・・・・・・・・もう。ばか。」
ご、誤魔化されてるー!
「さんきゅ、律っちゃん。愛してるよ!」
唯は私にウィンク。
「・・・また!他の人に『愛してる』なんて軽々しく・・・んあっ、ふぅん、あ、はぁっ・・・」
ぎりり、と睨みつける梓の唇を再び唯は捉えて。
「・・・あン、ふあ、ンむぅ、うぅんっ・・・・・・次、からはしないでください、ね?」
唇を離すと梓はすっかり蕩けて、甘えた声を出す。
あれ、どうやってるんだろう。今度教えてもらおっと。

「・・・純ちゃんのばかっ。人前で狂わせないで、っていっつも言ってるでしょっ。」
「ごめんてば。もうしない。ほんとに。」
ぷんすかしてる憂ちゃんをなだめながら純が出て行く。
「・・・純ちゃん、めっ。もうしたらだめよ?」
「うんうん。しないしない。もうほんと。絶対。」
・・・憂ちゃーん。こいつ、ダメな奴だよー?
純は去り際に、私の耳元でこそこそ。
「・・・律先輩。ヤバいっす。澪先輩、すごいおこです。激おこプンプン丸です。」
私は1人、椅子に座ったままの私の恋人をちらり、と見て。
「・・・ああ。分かってる。」
「・・・八つ裂きにされないよう、気をつけてくださいね。」
純はくふふ、って笑って言った。
このやろー。楽しんでるな。
「・・・努力する。」
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