律と澪の部屋

□あなたに狂わされて。
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「うわー。結構人、入ってるよ?」
ひくん。
澪はあからさまに青ざめて、背筋を硬くした。
私達がライブハウスで頻繁に単独ライブを行なうようになり。
けっこう回数を重ねていたにも関わらず、澪の人見知り、恥ずかしがりはそう簡単に克服できていなかった。
「わ、わたし、たちもー、けっこう人気者、だなー。」
棒読みで話す口調が痛々しい。
唯は客席の方を覗いたまま。
「うわー。わかばガールズ、すごい盛り上がってるよ?」
前座などという物を頼むほど、大物でもなければ、お金があるわけでもなかったけど。
梓の口利きで、私達のライブでは常にわかばガールズが前座を努めるようになっていた。
「・・・あ、そ、そう?」
澪は目をつぶって、深呼吸をして。
何事かぶつぶつ唱え始めた。
そしてうろたえた顔で振り返って。
「・・・え、えーと、1曲目ってなんだっけ?そ、その前に入りのMCは?」
・・・やれやれ。
「澪ちゃん、慌てないで。落ち着いてやれば大丈夫よ。」
心配そうに言うムギ。
「・・・律っちゃん。出番よ?」
でも私を振り向いた顔は明らかに・・・そう、ニヨニヨしていた。
私はかたん、とライブハウス楽屋のパイプ椅子から立ち上がって。
「みーお。」
わざとのんびりした声で恋人を呼ぶ。
「曲順ならいつも通り、アンプのとこに貼ってあるから心配すんな。ちなみに一曲目はDon’t say lazy。」
言って、震えてる澪を抱きすくめる。
「・・・あっ・・・り、つぅ・・・」
澪の方が背が高い上に、ステージ衣装でヒール高い靴を履いているから。
・・・かっこわりーなー。
ちっこい自分を呪いながら、澪の頭を抱きしめるようにして。
「大丈夫。後ろから見ててやっから。」
唇を奪って、舌を差し入れる。
「・・・ん、ふぁっ・・・ぅ、くぅん・・・」
奥のほうで縮こまってる澪の舌をこちょこちょ、ってくすぐってやると。
「ん、ぅん・・・ふぅ、ふぅん、んちゅ・・・」
徐々に澪の舌がほぐれてきて、やがて私の背中をおずおずと抱きしめて。
「・・・ふぁ、んっ、ぅ、り、つぅ・・・」
自分から欲しがって、舌を差し出す。
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