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□環境の劇的な変化による周囲の変化と自己の内面の推移について
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「僕は、普通だよね?」
「どの辺が?」

僕の心の部屋で大の字になって寝転がる君に話しかける。ダルそうな顔をしながらも、ちゃんと僕の話を聞いてくれる君は優しいのかもしれない、なんて僕は、最近馬鹿みたいな錯覚を起こしちゃったりする。独り暮らしだから話す人なんかいない。話題なんてどうでもいい。声を出したかった。彼と言葉を交わしたかった。彼と話すことで寂しさがなんとなく和らぐ気がするのは間違いなく気のせいなんかじゃないのに最近気付き始めてしまった。


「宿主サマは普通じゃねぇよ。俺がいなくならない限り。」
「バクラが居る僕と、僕だけの獏良だとやっぱ違うのかなぁ」
「そりゃ、全然違うにきまってんだろ。」


"だよね"なんて笑ってみせる。君は容赦なく"オレ様が居ない宿主に価値なんてあると思ってんのか?"なんてののしる。
気の弱い僕と気の強い君のいつも通りのやりとり。いつも、なんとも思わないんだけれども、今日のはなんだか、たちが悪い。
心の部屋に物理的なそういうごちゃごちゃした要素なんてあるはずないのに、肺に入ってる空気が抜けていくような感覚。変わりに鉛でも入ってるかのようにずっしりと重い。


「普通じゃない"ばくら"に触れて僕と友達になった人たちは君が居なくなったらみんなどこかに行っちゃうのかな」
「さぁな」
「バクラ消えんの?」
「さぁな」
「勝手に消えないでよ」
「さぁな」
「友達減ったら寂しいもん」
「知るか」


泣き虫で寂しがり屋で気の弱い僕の嘘。君なんて早くどっかに行っちゃえばいいのに、なんて、もう思ってない。


"役に立てたかな?宿主として"

訊こうとしてやめた。きっと今の彼に何を言ったって"さぁね"しか言わないだろうから。
彼が消える本当に直前に訊こう。
答えを聞かなくてもいいように。



―――――

そろそろバクラが消えることが解ってる宿主様
宿主は誰かに必要とされたい子

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