文章

□0.02
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「君はもう少し黙った方がいいよ」
「なんでオレ様が宿主の言うことを聞くと思うんだよ。」


いやいやここは僕の意見を聞くべきだろう。と、いうか、僕の言うことを聞かないと先に進まないよ?ばかなのバクラ?
なんて言ったら安いマンションの壁の薄さなんか気にも留めないで大声でぎゃんぎゃん騒ぎ出しそうだったから言いかけたのを飲み込む。そうこうしてる間にもバクラは勝手に僕の体を使って勝手に作業を進めていく。


「ああ、そこは違うって」


彼がとんでもないことをしだすから思わず口に出る文句。どうしてもこれだけは譲れない。たとえ君に睨まれても、だ。
不機嫌そうな顔、苛ついた声で"何がだよ"と訊かれる。
僕はあくまでバクラの故郷を再現するのを手伝っているだけでであって、僕がやりたくて自発的にやっているわけではないという事を一から説明してあげようかと思ったけれども止めておく。おちついて、ここはアドバイス。


「先にそんなところから作り始めちゃらしくならないじゃないか」
「じゃあ、やっといてくれよ宿主様」


折角僕が教えてあげたのにバクラは簡単に匙を投げる。現代の病気の象徴だ。不機嫌そうに鼻をならしてそのまま僕に体を明け渡す。
"宿主様はいつから俺にこんな強気になったんだか"なんてぶつぶつ言ってるけど気にしない。

「もう消える君なんて怖くないよ」


へらっと言ってやればバクラはきょとんとした顔でフリーズ。そうしてる間にも僕は作業を進める。今のところ作業は順調で惚れ惚れしちゃうレベル。なかなかいいじゃないか。


「二心同体なんだよ?僕ら」
「世話になったな」
「なら手伝って」
「それは断る」
「君らしいや」


へらへらと笑う。
君がいなくなった後の日々に想いを馳せながら砂を敷き詰める。バクラが居なくなったらその魂の分だけ軽くなるんだろうかなんて僕らしいオカルトチックな事を想像してみたりする。
バクラの魂の分だけ軽くなった感覚がどんなものか考えてみたけれども全然想像がつかなかった。




――――――

アニメの宿主は色々不憫すぎる

0.02は魂の重さだったきがする。

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