文章

□勘違い斜め上
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・学パロみたいな



小さな頃、ハロウィンに父が言った言葉を思い出す。

『実はね、不動家は代々吸血鬼なんだ』


そう言って父は母に噛みついた。母の棒読みな悲鳴もよくよく見れば分かる母の首筋についた血糊も俺にはやけにリアルに見えた。
そして、父はどこからともなくペットボトル(これもよく見ればトマトジュースだとわかる)を持ってきて、俺の前でイッキ飲みしたのだった。
小さい俺はとても驚いて、翌日ジャック達に報告したら凄く笑われたのを今でもはっきりと覚えてる。


まさか高校生になってこんな事を信じそうになるとは思ってもみなかった。
燦々と日がさしている麗らかな平日の真昼に俺は本当に自分が吸血鬼なのかも知れないと真剣に考えていた。ジャック達に言ったらあのときのように笑うのだろう。
授業はもう頭に入らない。日の当たる窓際の席は暖かくてつい、睡魔に意識を持っていかれそうになる。目の前にいる小波も例外なく日の光を浴び、少し前に眠りに落ちたのだった。
俺の前の小波は机に突っ伏して寝ていて、日にさらされた首筋に無性に噛みつきたくなった。
もちろん授業中にそんな事はしないし授業中でなくとも俺はそんな事は出来ない。
俺は俺のこのおかしな思考を正当化するために遠い昔に父の言っていたことを記憶の中から引っ張り出してきたのだった。

「…馬鹿げている。」

呟いた。もちろん誰にも聞こえないようにだ。
目を伏せると頭に直に光が当たる。今なら寝れるかもしれない、そう思って目を閉じた。思った通り数分もしないうちに眠りにつけた。そこから先が問題だった。
気づいたら小波は俺の両腕の中に収まっている。夢だ。
怯えた顔をする小波に"どうした?"と問いかけるけれども小波は首を左右に振るだけ。
俺の意思とは無関係に身体が動く。小波は固く目を瞑る。
小波に触れて、数秒後に喉にどろりとした暖かい液体が流れ込む感覚。
ああ、こんな事がしたかったワケじゃない。そう思って小波から離れる。真っ青で死にそうな顔をした小波は弱々しく笑いながら"美味しかった?"と聞いてくる。
頬には涙の跡。なんて悪夢だ。


遠くで鳴る終業のチャイムを聞きながら俺は真剣にジャックとクロウに相談しようか悩んだ。



―――――

途中で何がしたいのか解らなくなった。


【オマケ】

「俺は吸血鬼かもしれない」
「…ジャックが働かないからとうとう遊星が壊れた」
「窓際で日光を浴びていたから頭でも沸いたんだろう」
「小波の首筋に噛みつきたいと思ってしまったんだ」
「は?」
「意味が分からん」


遊星、気付いて!!
お前は小波君が好きなんだよ!!(管理人心の声)

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