文章

□ハナミズキ
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※ヨハこながお付き合いを始めた経緯



「小波はさー」
「んー」
「俺のパートナーだよな?」
「んーうん」

楽しそうにPDAを弄る小波に話しかける。さっきから俺が話しかけてもこの通り聞いちゃいない。ずっとメールに夢中だ。
この間誰とメールしてるか訊いたら十代だって言ってたから、多分今も十代とメールをしているんだろう。
確かに彼らの仲が良いのは知っていたし、限度を弁えたやり取りならまぁ、許せるんだが…
如何せん、一日中メールをしているんだ。パートナーの事、放っておいてだぞ?
もやもやするから十代にメールの内容を尋ねた事もあった。目を泳がせた十代にデュエルを口実に逃げられてしまって結局内容は聞き出せなかった。

で、今の状況だ。
レッド寮で二人きり、突然押し掛けてきた俺を戸惑いながら小波は快く部屋に通してくれた。ここまではいいんだ。ここまでは。
ただ、入ってからが問題だった。
俺がベッドに腰かけた瞬間小波はポケットからPDAを取り出す。この指の動きからしてきっとメールだろう。そして、相手は恐らく十代。
かちかちとひたすらプッシュ音が鳴り続ける部屋に俺が耐えきれず他愛ない話をし始めて冒頭に至る。
正直ここまで反応が薄いとメンタルがクラッシュしそうだった。
とにかく、話を続けなくては、そう思う気持ちと、小波と二人きりっていう事実がどんどん俺の頭のなかで膨張して思考を鈍らせていった。

「小波は俺の事嫌いなの?」

駄目だ、この話題は地雷だ。そう頭の中で却下した話題が口をついて出る。
流石の小波もメールを打つ手を止めた。無音になる。
だめだ、もう引き下がれない。逃げ道はない。
後ろ手に持っている花束を握りしめる。ルビー達と作った花束。

「俺、小波の事がマジで好きなんだ。」

花束を差し出す。どうしよう、受け取って貰えなかったら。ぐるぐるとらしくないネガティブな考えが巡る。

「…え、あ…の、その…実は、俺もヨハンの事結構前から気になってたってかなんていうか…あうぇ!?」


小波が話終わる前に抱きしめた。


ハナミズキ
(私の思いを受けてください)



【おまけ】
小波と十代のメールの内容

From:小波
―――
え、どうしよう、よはんとふたりきりなんだけどどうしよう

from:十代
―――
変換出来てないぞ(笑)
とりあえず落ち着け


――――――
拍手でおまけってアリですか?

もとはくしゅです

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