お話

□孤独な少女
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暗く狭い部屋の中
周りは静まりかえっている
少女の鳴き声だけが響いている
その少女は少し嗚咽を漏らしていた…





暗く狭い部屋の中
そこにいるのは一人の少女
自分が誰なのかさえわからなくなった少女
誰にも会えない孤独な少女


その孤独な少女は泣きました
泣けばコノ部屋から出してもらえると思ったから泣いて…泣いて…
涙が涸れるほど泣き続けました
けれど、結局出してはもらえなかった
人さえ来なかった
もぅ、その少女の瞳からは透明な液体は出てきませんでした

その孤独な少女は叫びました
叫べば誰かが助けてくれると思ったから
叫んで…叫んで…
声が涸れるほど叫び続けました
けれど結局は誰も来てはくれなかった
自分の声が聞こえているのか不安になった
もぅ、その少女の喉からは可愛らしい声は出てきませんでした





何故、自分をココに連れてきたやつ等は私を殺さないのだろう?
少女は疑問に思いました自分が死ねば、ココに連れてきたやつ等を困らせることができる

それに…





楽になれる



少女は笑い転げました
涸れ果てたと思っていた液体は笑いによって出てきました
涸れ果てたと思っていた声は笑いによって出てきました


床に落ちていた硝子の破片を手に取り、手首の皮膚を裂く

真っ赤な液体が溢れる
少女は床に崩れ、静かに頬をぬらした



『やっと…解放される…』


最後に呟き瞼を閉じる



人生の最後に
今まで愛してきた人達の顔が浮かんだ


少女はそれをどうすることもできなかった

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