お話
□愛した人
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「飽きちゃった♪」
そう言った彼の腕には、知らない女性がくっ付いていた…。
唯唯。楽しそうに笑い、私を見ている。
そのときの顔が、今でも忘れられない。
二年後、私を捨てた彼が来た。
なんでも、あの時の女性にフラれたそうだ。
さっきから「ごめん…あれから凄く反省したんだ…」とか「もう一度付き合ってくれないかな…?」とか…
そういう言葉しか発していない。
別れを告げられてから、私の頭の中は、この人で一杯だった。
だから私は、ニコッと笑い言った。
『私…貴方のこと…』
彼は嬉しそうで、顔が輝いているように見える。
その顔に満足した私は、続けた。
『飽きちゃった♪』
二年前と同じことを言ってやった。
彼の顔は真っ青になっていた。