子猫シリーズ@
□〜セブルス・スネイプ、子猫の行動範囲を広げる〜
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ホグワーツ魔法魔術学校。
多くの少年少女たちが魔法の腕を磨くべく、入学してくるこの魔法寄宿学校は、
今、クリスマス休暇の為、しんと静まり返っていた。
しかし、それも残り2日。
明後日には、休暇が終わり、生徒たちが帰って来る。
教師たちは授業の準備に追われていたが、
シリウス・ブラックやリーマス・ルーピンは、ハリーたちも帰ってくるし、また賑やかな日が始めるなあと楽しみにしていたりする。
が、そんなことを露ほども思わず、むしろ苦々しく思っている人物もいた。
誰かといえば、無論、ホグワーツの魔法薬学担当教授、セブルス・スネイプである。
グリフィンドール嫌いで、スリザリン贔屓で、
子猫…否、自室で保護している幼女を溺愛している黒衣の人物だ。
「…とうとう、残り2日か。」
ついに、クリスマス休暇が終わる。
いつものごとく、子猫とともに朝食を食べたスネイプは、
赤々と燃える暖炉の前の椅子に座り、ゆったりと子猫を膝の上に乗せていた。
本日は淡いレモン色のドレスに、水色と白のニーソックスを履いたノエルは、
朝食をきちんと食べたことをスネイプに褒めてもらったあと、
朝食で消耗した体力を回復させるために、大好きな黒づくめの教授の膝の上でひと眠りしているところだ。
「ふにゃ……。」
暖かい暖炉のそば。
大好きなスネイプの膝の上。
すやすやと眠るノエルの顔は、安心しきっていた。
時折、よくわからない声をもらすノエルに、いつもは固く結ばれているはずのスネイプの唇が自然に緩む。
まったく、なんて愛らしい子猫なのだろうか。
(しかし、明後日からまた騒がしくなるな…。)
束の間、子猫で癒されたのだが、スネイプの思考はまた忌々しい2日後に飛んで行く。
ノエルと過ごした愛すべき休暇が終わってしまうのだ。
「ふむ…。」
そうなると、今までのようにノエルに付きっきりというわけにはいかなくなる。
特に、スネイプが授業に出ている間は、必然的にノエルが一人になるのだ。
ドラコにしても、自分の授業があるのだし。