子猫シリーズ@

□〜セブルス・スネイプ、子猫と不法侵入者に出くわす〜
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グリフィンドール嫌いで子供嫌い、常時仏頂面でつむじ曲がりと、
生徒たちからは定評のあるホグワーツの魔法薬学教授、セブルス・スネイプ。




そんなセブルス・スネイプが、地下の自室で子猫のような愛らしい幼女の世話をせっせと焼いているなど、
生徒たちは誰ひとり、真面目に考えたこともなかった………のは、昨日までの話。




恐ろしいことに、まさにその通りの噂がグリフィンドール寮を中心に駆け廻っており、
ホグワーツは朝から、ちょっとした騒ぎになっていた。


しかし、無論、当の本人はこの後マクゴナガルに知らされるまでそのことを知らず、
むしろ、その日は朝から非常に気分良く、穏やかに過ごしていたのだった。











 「にゃーう。」




起床時間の3分前。

ベッドの中で、甘えるような子猫の鳴き声を聞いたスネイプは、
低血圧ながら、もうすぐ起きる時間だったこともあり、すぐにゆるりと意識を浮上させた。





 「なぅー。」





再び間近で鳴き声がして、ごろごろと喉を鳴らす音がする。


同時に、仰向けにベッドで横になっている自分の胸のあたりで、もぞもぞしている温かい固まりを感じた。


それが何なのか容易くわかり、スネイプはまだ目を閉じていながら、
思わず、自分の口元が緩むのがわかった。

(同時にいつも思うことだが、重症だ…とも思った。)



愛すべきスネイプの子猫…否、幼女ノエルは寝起きは特に甘えたになる。

今日は少しばかり、スネイプよりも先に目が覚めてしまったらしく、
いつものように撫でて起こしてくれとねだっているのだろう。





 「……。」





スネイプがぼんやりする頭をはっきりさせながら目を開けると、
自分の胸板と布団の間にひょっこりとクリーム色の猫耳が見え、

次いで、目を閉じたまま、すりすりとほっぺたをすり寄せている幼女の顔と少し乱れたハニーブロンドが見えた。


そっと手を動かせば、スネイプが起きたことに気付いたのか、ノエルがぱちっとパープルの目を開ける。


そして、ぱっとその大きな目が輝くのを見て、
スネイプは微かに笑いながら、よしよしとその猫耳とハニーブロンドを撫でてやった。





 「おはよう、ノエル。」


 「にゃーう!」





わしゃわしゃと頭を撫でてやれば、子猫もおはようと挨拶を返しながら、
殊更甘えたような声を出して、ぐいぐいとスネイプの手に額を押しあてる。


もっと撫でて!と全身で主張している子猫に、スネイプが敵うはずもなく、
スネイプはいつものように思う存分頭を撫で、髪を梳き、喉をくすぐって甘やかしてやった。
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