秘書と学者シリーズ
□秘書と学者の再訪問
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「卵、パスタ、小麦、ミルク。あとは…ああ、やっぱり野菜がいるな。」
とある休日。
随分と真夏と言える時期に近づきつつある季節なだけあり、
からりとした晴天で、それなりの気温の週末だった。
そんな呟きをもらしながら、マーシャル・ハワードはのんびりカートを押しつつ、
自宅の近くのスーパーで、食料品の買い出しに来ていた。
しかし、自宅の分ではない。
本日、家を訪ねる予定のセブルス・スネイプのものだ。
「きっと、私が行った時から貯蔵庫に食料が増えてるわけもないし。色々買っておかないと。」
そうため息を吐きつつ、マーシャルは思わず微かに顔が赤くなるのを感じて、また深いため息を吐いた。
お礼と称して、スネイプに食事に連れて行ってもらった先日。
別れ際の軽いキスの後、一体、どんな顔をしてあの天然タラシ紳士に会おうかと、
マーシャルは、地味に悩み続けている。
(Mr.マルフォイみたいに、生粋の女たらしってわけじゃないもんな。)
だとすると、真面目にとってしまって構わないのだろうか。
そんな思いで、現在、
マーシャルはまたスネイプの家に行けると言う嬉しさ半分、恥ずかしさ半分といった具合だった。
「まあ、とにかく買い物!」
こんなところで悩んでいても仕方ないので、マーシャルは意識を切り替え、買い物を続行した。
買ったものを茶色の紙袋に詰め込むと、結構な重さの袋が2つになったが、
マーシャルは先日と同じように、歩いていくつもりだ。
仕事帰りではなく休日なので、
マーシャルはシンプルにジーンズの上から黒いTシャツを着て、軽く上着を羽織っている。
ショルダーバックを肩に掛け、両手に紙袋を持って、まずは漏れ鍋に出発した。