秘書と学者シリーズ

□秘書と学者の第一歩
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雲一つない晴天。


からりとするどころか、干からびてしまいそうなほどの日差しが降り注ぐ、よく晴れた夏の週末。


マーシャル・ハワードはスピナーズエンドのセブルス・スネイプの家にいた。


今まで、週末は休みでも、ワーカホリックと周囲から称されるマーシャルは仕事が立て込んでいれば、
普通に、(しかも)自主的に休み返上で魔法省へ顔を出していた。


が、ひょんなことから、とても長期間目を離しておけないような生活能力の学者に出会い、
せっせとその世話を焼くべく、今まで仕事の為に犠牲にしていた時間を充てることにしたのである。




今も、どうしようもなく上司が放置していた仕事を一件片付けるために、
午前中魔法省に顔を出しただけで、午後は一番にスピナーズエンドにやってきた。


すでに、スネイプから渡されていた鍵で勝手に中に入り、来る途中買い込んできたものを仕舞うと、
マーシャルは前回の訪問の時から考えていた、スネイプに食事をさせる次にやりたかったこと。


すなわち、掃除に没頭していた。







 「ぐっ…手ごわい;」





思わず、唸りながら、ごしごしと気合を入れてリビングの窓を雑巾で擦る。


プロのしもべ妖精ではないのだから、一度に家中の掃除は無理だと、
マーシャルは高望みせずに、まずはキッチンとリビングを徹底的に掃除していた。


キッチンは簡単だった。

なにしろ、ほとんど使っていないのだから、埃を払うだけでいい。
(それはそれで、どうかと思うが。)


問題はリビングで、前回マーシャルが訪問した時のまま、

床やソファの上は羊皮紙とインク瓶に覆われているし、スピナーズエンド特有の工場の排煙のせいか、
窓は煤けて、元の透明度を取り戻すのに、かなり苦労している段階である。





 「うぅ、もっと掃除の呪文が上手かったらな…;」





料理はそこそこできるし、掃除洗濯も人並みにはできるのだが、
マーシャルは、ほとんどマグル式で今までやっていた。


一人暮らしだし、それで困る事もなかったのだが、
今日ばかりは、実家の母のような便利な呪文を使えるのが羨ましい。
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