秘書と学者シリーズ
□秘書と学者のホグワーツ騒動(前編)
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ホグワーツ魔法魔術学校の職員会議は基本、朝早くに始まる。
しかし、長期休暇中の会議はさすがにのんびりしたもので、10時開始と決まっており、
それぞれ休暇を満喫していた教授たちは順に自分たちの研究室の暖炉へ飛んで、
職員室へと集まってくるのが毎年恒例だった。
順番は大抵決まっている。
一番早く来るのは副校長のマクゴナガル教授で、
あとはフリットウィック教授やスプラウト教授など順不同だが、
最後は決まって、遅刻ギリギリに現れるシリウス・ブラックだ。
それは本日とて変わらず、
ルーピンに引きずられるようにしてシリウスが職員室へ入ってきて、ようやく全員が揃った「。
「3分遅刻ですよ、シリウス。」
「固いこと言うなよ、3分くらい!」
「すみません、どうしても起こせなくて。」
ため息をついたルーピンに小突かれてシリウスが席に着き、
マクゴナガル教授が揃ったメンツを見回した。
顔ぶれは各4寮の寮監+医務室のマダム・ポンフリー、
場合により、応援が必要であればハグリットが呼ばれることもある。
校長は、よほどのことがない限り出席を免除されていた。
「それでは、長期休暇中途会議を執り行います。
まずは、ざっと行うべきことを確認してから、それぞれ動きましょう。」
副校長が口火を切り、手元の羊皮紙を羽ペンで叩きながら、
テキパキと箇条書きされた予定を振り分けた。
「1つ目は、休暇中の生徒の問題行動について魔法省から通達です。
今年は1件。ウィーズリー家だそうです。」
「また、あの双子でしょうねえ。」
「ハリー・ポッターまで上がっていないだけマシですな。」
副校長の言葉に、ため息時交じりのコメントがなされる。
残念ながら、魔法省からの勧告は大小問わず、
フレッド&ジョージ・ウィーズリーにハリー・ポッター、リー・ジョーダンなどが常連だ。
例年通り、副校長のマクゴナガルと誰か1人ほど教員が魔法省へ行かねばならない。
「魔法省行きのメンバーは後程決めましょう。続いて、保護者からの問い合わせが3件ほど入っています。
これは各寮の寮監に対応をお願いします。レイブンクローが2件、スリザリンが1件。
フリットウィック先生とセブルス、頼みましたよ。」
「わかりました。」
「了解した。」
保護者からの問い合わせが多いのは断トツでレイブンクロー、続いてスリザリンといったところ。
この辺りも例年通り…なのだが、なんとなしに違和感がある。
だが、なんだろう?
マクゴナガル教授は内心もやもやした感じに首をかしげながらも、伝達事項を進めていった。