普通の夢
□K
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なおこ
羅良(ライ)
海(景輔)
中学生の三人は友達。海はあまり関わりを持たなかったが、二人を大切に思っていた。
なおこと羅良は、特に仲良し、一心同体だった。
二人は、出会ったという記念に、判子を作った。それぞれが上から見るとまが玉の形をしていて、二つ合わせると綺麗な丸になるもの。
二人は、その判子をある1つの缶に入れた。
大事に、大事に。
次にその缶が開かれるのがいつなのかは、俺にはわからなかった。
ある日、なにかがあってなおこの存在が無くなってしまった。
皆なおこを覚えていない。
羅良は、俺の家の風呂場でその缶を開けた。
羅良の周りには刃物があったので、俺は羅良をなだめようとした。
彼女が、自殺、しちゃいけないと思って。
俺が羅良の肩に手をやると、羅良は振り向いて、俺の腕を揺さぶってきた。
缶…
「どうしよう!どうしよう!!」
「羅良…ッ」
「どうしよう!!なおが居ないの!いなくなっちゃった!!判子はちゃんと2つあるのに…!!どうしよう…どうしよう!!わぁああぁあぁぁ」
「ごめん、俺、ッ…羅良…」
ごめん…俺には、その判子は1つにしか見えない。
羅良のだけしか見えないよ…。
「どうしようどうしよう!!!」
どうしよう…
どうしよう…らい…らいちゃんが泣いてる…
私が…私がいなくなったから…
どうしよう…
神様に頼んで…もう少しだけ…
ここでらいちゃんを見てても…
いいかな…
ちょうどそのころ、おれの頭の中でも、なおこが薄くなっていった。
羅良…
ちくしょ…
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