普通の夢

□医者の旅
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ある医者の男が1人あった。
男は、ある女から依頼の文を受け、女の家まで旅をした。一本の川の向こうに、女の家はあった。
「すんませーん」
ガラガラ
「はい、お待ちしておりました」
その患者というのは、女の母親だという。
女は男を部屋に案内した。そこには、1つのベッドがあった。
毛布が敷かれていて、中央が膨らんでいた。
「これは?」
「はい、背中が痛いというんで、さすってあげるのですが、布団から出てこなくて」
「そうか」
男は毛布をめくった。
そこには、丸く縮こまった老婆があった。
「おや」
「先生、」
「うーん」
「先生、」
「お母さん、背中、痛みますか」
「…背中が、痛いんだよォ、さすらんで、さすらんで、…」
老婆は、もごもごと口を開いた。
「さすっちゃ、だめだったらしいっすよ」
「す、すみません」
「お母さん、背中、見せてくれますか」
老婆はシャツを脱いで、うつ伏せになった。
「おんやぁ、これは…」
「先生、」
「うん、これは珍しいねェ」
「痛いんよォ、治るんかぃ?」
「これは、いつから」
「朝起きたら、なってたんよォ」
老婆の背中は、見たことのないような荒れようであった。
赤い皮膚に、黄色いいぼがそこらじゅうにできていた。
「まるで、そう、背中に、いぼがえるが抱きついているような」
「はい…」
「他に、このような患者は」
「いえ」

これは、伝染病か?伝染するのか?



「ということがあってな、大変だったんだ」
「そりゃ、奇妙な」
二人の男が、小さな木の舟に乗って、川を下っている。
「そういうおまいさんは、…っともう暮れか」
「え、もう」
いつの間にか夕暮れ時、川を渡るには、少し不便であった。
「おい、灯りを」
「…」

「…ないのか?」
「いつも、暗くなる前に帰っとったからなぁ」
「おいおい、…まあ、俺も、持ってないけど」


旅は、長くなりそうだ―――。


――――――――――――
俺から見ても不思議な夢だった。
場面が変わる所と、灯りを持ってないところの会話が、面白かった。

感想待ってます。

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