普通の夢

□『―帰りたい―』
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時は にじゅう○世紀―
『私』たちの組は宇宙のあの星へと行先を向けた。
車のようなロケットに乗り、星が光る暗闇の中へと進む。

その星のゲートに無事着陸し、皆がロケットから降りた。だが、一人だけ、知らない人が『私』には見えた。一瞬、一瞬だけ、ロケットの先を横切るように歩く女性、いや少女の姿を。彼女は、ふっとこちらを見て、そして消えた。皆には見えていないようだった。

この星の大地は、肌色の岩石のようで、掘るのは容易くはないだろう。どこか、懐かしい空気である。


この星に来た最大の目的である、人間の創造。この人間は、人間と言っても、ほぼ機械である。それを果たすために、『私』たちはある場所へと向かった。
そこには、厚い鉄でできた丸い棺桶のようなもの。一人の男が、それにある小さな扉を開いた。すると、そこには、人が入っていた。
白い肌、黒い髪、まさしく、人間のようなモノ。
「おはよう」
その一言で、その人間は、機械的にそのまぶたをパッチリと開けた。それはもう、『私』には、人間には見えなかった。



しばらくして、その星でその男が呟くように言った。

「私たちの隊員にはねぇ、一人、ここで亡くなった人がいるんだよ。残念なことに、死んだ人がいるんだよ。」



私は黙って聞いていた。
その男は、その人が亡くなった理由は言ってくれなかった。
その男は、諦めたように、しかし、後悔はしていないように淡々と話した。


『私』は思った。

「隊長、その方は、この星に埋めてあげたんですか。」

「いや、埋めなかった。」


「隊長、その方は、どこにあるんですか。」

「今もどこかに、この星に。」
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