普通の夢
□僕は名探偵
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俺は、ラン、ソノコと旅館に来ていた。
やけに清潔感のある内装。
1つ問題点を挙げるとすれば、エスカレーターやエレベーターが皆無だということだ。やけに幅の広い階段が、この建物の中央に密集している。それは、手すりが丈夫で、まるでそれに足をかけて段差を踏まずに次の階段に上れるような…逃走しやすいものだった。
なぜそれが言えるかというと、
俺はたった今その行為を繰り広げていたからだ。
よくわからないが、変質者のような、ヒーローの格好をした集団が一斉に俺たち3人を追いかけてきた。
訳もわからずに、俺は手すりを効果的に使い階段を昇降してそいつらをまいた。
本当によくわからないが、とんだ所に来てしまったようだ。
「はぐれたな…」
気づけば俺1人。
2人を探そうと思ったが、息切れでそれどころではなかった。
ノロノロと足を進ませると、診療所的な部屋を見つけた。
「旅館に保健室なんてあるのか〜…ん?」
その部屋のドアは開いていて、
覗いてみると、ナース服に紺のブレザー?を着た看護婦が3人、怯えて抱き締めあっていた。
これはなにかがあったと誰でも思うだろう、俺は彼女達に声をかけた。
「あの!どうしたんですか?」
すると、びくびくしながら1人が何かを指差した。
「あ、あれ…」
「あれ…?」
俺は指が差している方向を見た。
ベットだ。
いや、ベットの上に、彼女達と同じ格好をした看護婦がぐたりと横たわっている。
「殺されたの…仲間が殺されたの!!」
…どうやら死んでいるらしい。
しかし、その死体とやらからは、まだ気が感じられる。本当に死んでいるのだろうか?
そのベットもおかしいもので、シーツがやけに大きいのか、ベットの両脇からはシーツが床に付いてしまっている。
「(死んでない、…フェイクだ。)」
ハッとした俺は、死体はベットの上ではなく、下にあることに気づいた。
まるでシーツで隠されていて、いまだ発見されていない本当の死体がベットの下に転がっているのが、シーツ越しに見えた。
俺は静かにフェイクの死体に近づき、その顔を覗きこんだ。すると、死体だと思われていた彼女は、瞼をキュッと強く閉じ、それから震える瞳を俺に向けた。
―――やっぱり。
俺は、不敵な笑みを浮かべ、人差し指を口に当てて、
「しー、このまま」
小声で彼女に伝える。
俺の頭の中で、仕掛けが解かれた。
3人の看護婦に振り返り……
「さて、――――」
END
一体俺はどんな推理をするんだー!!
犯人誰だ犯人!