普通の夢
□黒くて白い出会い
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なんでもない、いつもと変わらない(いつもと変わらないと言っても、そのいつもは大変なのだが)日を、今日も俺は過ごそうとしていた。
というより、俺の全部が日々の変化を受け付けていない。
でもまあ、物をなくすなんてことは日常茶飯事で…
「あっれ〜…どこやったかな…」
俺はリュックを探していた。
半分壊れかけているが、残念ながら今は俺はそのリュックしか持っていない。
焦りながら居間へ足を踏み入れ、あるはずもないような所までを探し始める。
そして、あるはずもないが目に止まった畳に1番近い棚の扉を、跪いて開けた。
「あ…あったし(-"-;)」
なんでここに在るんと言う口を制御し、次の行動に身を移すため、いったんこの思考を無かったことにしようと、
ため息をついた。
ガッという音と共に、俺の肩は掴まれた。
いや、ため息をつきかけた。
もちろん、背後に人の気配など微塵も感じなかった。
恐る恐る顔だけ振り返ってみる。
人だ。
テンパって、頭が上手く働かず、視力や分析能力も追い付かない。
いや、女の子だ。
黒い、女の子だ。
彼女は俺を見下ろし、
俺が混乱のあまり畳に腰をつき、腕を後ろに追いやるまで
肩の手は固いままだった。
「おい」
「あ…え……え?」
やばい、目が回りそうだ。
彼女から目が離せない。
彼女の目が青い、冷たい。
「連いてこい。でないと殺す」
「…は!?」
なに!?いきなり?!
どうして?!なんで?!
…誰…?
あ…さっきから知らない輩が家にいるのはなんでだろう…
悲鳴をあげているのはなんでだろう…
こういうときだけ、目の前のことを考えられない。
周りのことばかり見ようとする。
そうか。
こうやって周りを見て、冷静を保とうとするんだ、俺は、人間は。