普通の夢

□悪魔の祈り天使の嘘
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彼らと俺と、天使や悪魔ではない俺の友達は、デパートのようなところに来ていた。
いやにエスカレーターが多い。

俺はすることもなく、他とは別行動をし、本屋に行ったり、エスカレーターを無駄に登り降りしていた。

何度手を置いたかわからない、エスカレーターのベルトに手を置くと、ふいに床に目が付いた。何かキラキラ光っている。
急いでそのエスカレーターを逆走し、元の階に戻り、その光を探った。

「…これは…十字架!」

彼らが一時も離さなかったあの十字架だった。俺は、あいつらに何かあったんだと核心し、探した。
簡単に見つかった。
彼らは…全員床に倒れていた。
その手からは、十字架がこぼれていた。

「え…うそだ…うそだ!!」

俺は、一緒に来ていた他の友達を探し、
「なあっ、あいつら、あいつらが倒れてる!!倒れてるよ!!!!」
「え?」
「あいつらが!!早く救急車呼ばないと!!」
「あいつら…って?」
「……!!」

知らない素振りだった。
俺は絶望した。
あいつらのこと覚えてないなんて、そんなの友達じゃない…!そんなの、ない…!

俺は泣く泣く、彼らがこぼした十字架を、形見に持ち帰ることにした。
最初に見つけた十字架の持ち主の名前を俺
は覚えてる。

「…ミカエル……」

帰って、俺が知っているもう1人の内通者であり、親友でもあるやつに言った。
肩を揺さぶり、十字架を見せながら、

「なあ、これ見ろよ、これ、ミカエルの十字架………!!!」
「…はあ?」
「天使と悪魔のだよ!!!!これ、あいつらがいつも持ってたやつ!あいつら倒れたんだよ!!!!」
「天使…?悪魔…?」
「っ!……こいつ……」

こいつ、忘れてる…



俺の全身には、絶望と、焦燥と、あいつの、いつか見たミカエルの微笑みだけが廻っていた。
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