普通の夢 vol.2

□死神は泣いた
1ページ/2ページ

※「普通の夢『女神は微笑んだ』」の続きっぽい。その後に見たもの。といっても、関連性は殆どないのである。しかも、場所は、体育館。


俺は裏切られた。けど、俺にはもう1組、別の仲間たちがいた。そいつらは、俺と一緒に、俺を裏切ったやつらを葬ってくれた。

(俺が誰だか、わかってて裏切ったんだよな?こうなって当然だろ。1人残らず殺してやる。後悔しろよ。俺をあんな風にさせたことを。)

笑って思うあたり、俺は残虐なやつなんだろう。でも、これくらい。俺は、俺は、俺は、俺は!!


遂に、やつらは残る2人になった。
彼らを追い詰め葬った武器は、ツルツルした丸いロボットのような戦車。この体育館に、30機ほどある。筒のような突起から、とんでもない破壊光線を出すのだ。それらは、2人を囲んで、今にも最後の一撃を繰り出しそうだ。

「やめてくれ!やめてくれ!」
「許してくれ!まだ死にたくない!」

(何?その態度。)

「ねぇ、俺に言ったよね。死ねって。…お前らが死ねよ。俺がお前らのせいでどんだけ苦しんだと思ってるんだよ。」

必死に機械に向かって懇願する彼らに向かって、冷たく言った。

(お前らが命乞するべきなのは、俺に、だろ。)
命乞いをすることでいっぱいいっぱいな彼らには聞こえてないだろう。今自分の犯した罪を謝れば、俺は許したかもしれないのに。もう、知らない。
俺は、彼らの最後は見なかった。あの戦車が勝手に殺ってくれるから、別に、死んだのを確認する必要はない。むしろ、それを見て、あの時の自分を思い出したくない。


俺は、体育館の、窓ガラスの近くの仲間が集まっているところに駆け寄った。

「終わった?」
「うん。」
「あっけなかったね。」
「みんな、ありがとう。」

そんな会話をしつつも、俺は、窓の外を見ている仲間の1人が気になった。会話の輪を抜けてそいつに近付く。俺が席を立った後も、会話は盛り上がっていた。

「なぁ、何見てんの?」
「ん?ああ、あれ。ほら。」
「?」
「双子座が見えるよ。赤い、双子座だ。」
「ほんとだ…。」

彼が小さく指差したところには、夜空、いくつもの星、そして、赤い双子座があった。どうしてだろう。俺は、双子座の星の配列なんか知らないはずだ。だが、なぜだかわかる。形作っているのは、あれと、あれと、あれと…。

(怖い。)

俺らは、暫くその星座に魅入った。


次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ