普通の夢

□悪魔の祈り天使の嘘
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この世には天使と悪魔が存在した。
それは、見た目も中身もそこいらの普通の人間となんら変わりはなく、何の能力も無い。特別なことなんて何もなく、ただ、天使、悪魔と呼ばれ区別されているだけ。宗教も何も関係などなく、ただ存在していた。自分からカミングアウトしない限り、見分けはつかない。普通の人間より少し顔が綺麗めなだけ。
「天使」と「悪魔」という区別の差も、
1mmも無い。むしろ普通の人間で、何で「天使」や「悪魔」なんていう単語があるのだろうか、と思うくらいに。
でも、もしかしたら、羽が、生えるのかもしれない。…でも、俺は見ていない。わからない。
天使と悪魔はその数が少ない。そして、それに従って、「天使」と「悪魔」の存在を知る者も限りなく少なくなった。

そんな世界で俺は、天使でも悪魔でもない、ただの俺だった。が、天使と悪魔の存在を知る、内通者的位置にいた。
俺は友達の中に天使と悪魔がいることが多く、彼らは俺と信頼しあう大切な存在だった。しかし、俺は、天使と悪魔を友達としているが、誰が天使で誰が悪魔かはわからなかった。知ろうとはしなかった。そして、内通者とは言っても、ただ知っているだけで、
他にわからないことが多すぎる。説明を求めるのはタブーだと思っていた。
彼らは、青みがかった灰色のローブを纏い、灰色の十字架をいつも持っていた。
このローブと十字架は、俺にしか見えないらしい。逆に言うと、俺は、彼らの顔に掛かるローブのせいで、彼らの顔をよく見ることが出来ていない。
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