普通の夢

□古傷
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俺は今スーパーで買い物中だ。お使いなわけだが、単に俺の好きなものを買おうとしているにすぎない。炭酸水を取ってかごに入れた。スパゲッティ、買おうかなぁ。

じっとパスタコーナーを眺めていると、近くで威勢の良い声が。
「スパゲッティの試食だよ〜!ほら!そこのにーちゃん!ひとつどうだい?」
「あ、はい…」
小さな器に入ったスパゲッティを貰い、食べる。
うまい。かなりうまい。
人がたくさん集まってきて、あっという間に試食が無くなる。
うまかったが、少々高かったため諦めてその場を離れようとした。
「にーちゃん!待ちな!これ、にーちゃんの分の割引券。ほら、持っていきな!」
「え、割引券?」
「そうさ。今スパゲッティの試食をすると、もれなく300円の割引券がついてくるんだ。」
じゃあ、これでなんか買おう。
そこで俺はスパゲッティを選ばずに、
「そう言えば、おっとっと食べたかったんだよね〜」
おっとっとに決めた。
お菓子コーナーに行くと、おっとっとが沢山積まれていた。そのひとつを手に取る。
「528円…?!どう考えたって高過ぎんだろこれは…。いや、でも、この割引券あるからいっか。」

「あとカリカリ梅買おう」

会計を済ませ、袋に品物を詰め、出入口へと歩いた。

「…あれ?」
俺の靴が、無い。

え?そもそも、靴が無いって、なんだ?
そうか。このスーパー、靴脱ぐんだ。
俺のテニシュー…無い、よな。

俺はケータイで、駐車場にいる親に電話をした。
「ねー、俺の靴、無くなった。」
「そんなの、誰かの履いてくればいいよ。」
「わかったそうする。」
俺はできるだけ高価そうな靴を選んだ(いいのか)。
(いやよくないし)
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