普通の夢

□奏でた無音
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俺は着物を着ていた。
正座をしていたが足は痺れていない。
空を見ていたのだが、不意に両腕に重みを感じて目線を手の中に移した。

俺は、17〜8歳位の着物を着た女の子を抱いていた。
仰向けになった彼女を俺の膝に背中をもたれさせて、腰と頭を支えている。
彼女は、俺の良く知る人物だった。
両目をカッと開けて、…口も開いている。
死んでいた。動かなかった。

自分の顔が青ざめていくのがわかる。
なんだこれは。どうして。俺はなにしてんの。
俺はどうしてこいつを腕におさめてる。なんでこいつは死んでるんだ。
なんでこんな状況。

彼女を見つめていると、彼女の口から何か出てきた。音符だ。いろいろな音符が次々と出てきて、列をなして空に向かっていく。俺はその音符を目で追って顔を空に向けた。
音はない。無音で、宙にメロディーを刻んでいく。音符は、五つの線の上に並んでいるわけではない。バラバラ。だから音はわからないはずなんだ。だけど、それは物凄く悲しい旋律に聞こえた。
いつの間にか、俺は、また下を向いて、声を抑えて泣きじゃくっていた。
それは、彼女のために泣いているんじゃなくて、自分のエゴなんだろうか。
いつから彼女を抱いていたんだろう。
どうして、彼女を抱いていることを忘れて空を眺めていたんだろう。
でも、彼女が死んで嫌なのは本当。



漫画のキャラだったんだけどね。
俺は主人公だった。

20??.??.??
中学の時のね。
結構なトラウマだったりした。

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