夢日記小説
□流るる指 天空、ウワノソラ
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「 え ?」
違う。
音が、聞こえない。
まるで、耳にオブラートが貼り付けてあるように、音がやけにゆっくりで、通常より音程が低い――――。
まるで、目の前にモヤがかかっているかのように、視界がボヤけて、スローに再生された。
俺は動けない。
視界が変わる。
天井が地面に、床が夜空に反転した。
視界が広がる。
地面は、草原。俺が歩いてきた道だけは草が生えていない。
夜空には。星が輝き、天の川。
怖いほど、星が流れている。
周りを見渡せば、いつの間にか老若男女がちらほらと、あいつもいる。皆が皆、膝をついて指を組み、星に願っている。
――何カ起キレバイイ――
ダメだ。
――何カ、怖イコトガ、面白イコトガ――
―――起キレバイイ―――
ダメだ、それを 願っては。
立ちくらみがしたかと思うと、視界が回り出した。否、シャボン玉のような、透明のでかい球体にこの世界が入った。このシャボン玉は何層もあり、それぞれが別々に回転している。夜空、星が反射してとても綺麗だ。俺は歩いてみた。動ける。この世界は。俺が中心のようで、俺についてくる。
俺は見惚れた。