普通の夢

□古傷
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そして、親が待っている車に乗ったはずなのだが…、今俺は、違う車に乗っている。
「ねぇノエル、シエルは今邸にいるの?」
「いないよ。もう少しで帰ってくる。彪が来ること、楽しみにしてた。」
「そう。俺も。」
「坊っちゃん方、少し揺れますよ。」
「ああ。」
馬車のような、オープンカーのような乗り物を、執事のような老人が操縦している。俺の隣にはノエル。俺とどういう関係なのかわからない。この人たちは、俺の知らない人たちだが、夢の俺は知っていた、もしくは知らなかったが気にしなかった。

「ねえ、後ろに変な人居るよ…ついてきてる。」
「そのようですね。」

邸までに振りきろうと思ったが、叶わず、邸まで連れてきてしまった。そいつは、人…というより、巨大な人型の機械だ。
妙に動きはスムーズ。

俺たちは門を開ける合言葉を叫んだ。
「早く!早く進んで!あいつが入ってくる!」
「わかっております!」

ガシャー…ン
門は地下のため、門が閉まると暗くて何も見えない。あの機械がどうなったかもわからない。

「とりあえず、部屋に行こう。」
この部屋とは何なのか。俺は、ここに何回も来ているはずなんだ。来ているんだ。(現実世界の俺はもちろん、初めてだと感じているけれど)
けど、わからない。ここが何の部屋なのかわからない。
実験…室?
こう思うのは目が覚めてからの俺で、ここにいる俺は、この部屋を懐かしく思っていた。

部屋を見渡す。
「シエル…、いないね。」

ザシュッ!!
「っ?!」
突然、俺の後ろから斧が投げつけられた。
俺の頬を掠め、壁に突き刺さる。
振り返ると、そこには、さっきの…
巨大人型ロボットがいた。斧を持っている。ロボットというより、残虐な人間そのものだった。
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