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□潔いほど、残酷
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いつものように戦って、人を殺し、路を拓く。
いつものように棍を振るい、剣で薙いで、紋章を放つ。
いつものように屍共を踏み越えて、先へ先へと進んでいく。
それで私は何を手に入れた?
手に入れたのは、手に残るのは、黒く乾いた誰かの血のみ。
正直、それは別にそれは構わない。
私はそれを望み、そうして生きてきた。
私が生きるためには、そうしなければならないのだから。
理不尽だと言ってくれるな。
そういうものなのだと諦めて欲しい。
たとえどれだけ恨まれようと。
たとえどれだけ憎まれようと。
私は何も感じはしないし。
あなた達には何も出来はしなのだ。
あなた達の魂は私の糧でしかないのだ。
だから、これは私が生きていくために必要な行為。
人は動物の肉を喰らうだろう?
けれど人はそのことに大して罪悪感を抱くことはない。
小動物を目の前に、殺すのは可愛そうだと言うが、食肉になってしまえば誰も気にしない。
それと同じこと。
私にとってあなた達は食肉と同様なのだ。
だから私は別にどうも思わない。
それ故に罪悪感など抱きはしないのだ。
この戦いは民の為でも正義のためでもない。
他でもない私自身のための戦いだ。
己の身可愛さに、ただ人を刈り続けるのだ。
この事を知ったらなら彼らは私をどう思うのだろうか。
まあそんなことどうでもいいのだけど。
潔いほど、残酷
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