第2書庫

□軍人としての使命
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 エドワードとロイに召集命令がかかってからの司令部は慌ただしかった。
ロイは司令官がいない間でも司令部が上手く機能するようホークアイに司令官代理の任につかせ色々と引き継いでおり、エドワードはというと一時期ではあるが軍人として最低限知っておかなければならない事がらをヒューズやハボックなどに教わったりしていた。



2.軍人としての使命




 召集命令を受けたその日のこと――

 「何とか言ってよ! なんで兄さんが行かなきゃならないのさ!!」

エドワードは返ってくるだろうと思っていた言葉を静かに聞いていた。
それが余計にアルフォンスを苛立たせる原因になるとわかっていてもそれしかできなかった自分たちの身体を取り戻すための旅を一時中断しなければならず、鎧の姿であるアルフォンスに自分が戦場から戻ってくるまで待っていてもらわねばならない。しかも、無事に帰ってこれるかすら危うい。

 「・・・・・・・・」

 「わかった・・・兄さんがそんな態度をとるならボク、大佐の所に言って話してくる!」

 「ちょっ!? アル待て!!」

エドワードは驚き、アルフォンスを止めようとするが時すでに遅し・・・アルフォンスはエドワードの制止も聞かず部屋を飛び出していってしまった。エドワードも一つ溜め息を吐くとアルフォンスを追いかける為、部屋を出て行った。


一方、ロイは就業時間は過ぎていたが出兵が近い為、少しでも部下たちに迷惑がかからないよう書類を片付けていた。自分がいない当分の間はホークアイが司令官代理を務めることになっている。出兵の話も部下たち皆一同驚きを隠せないでいたようだった。
ロイとしては自分が出て行くのは別に驚きもしないのだがあの金色の少年も一緒だということに驚きはあったがやはりと思う気持ちの方が強く、彼の後見人であるのにそれを止めることができなかった自分が許せないと思ってしまう。
なんともないような姿を振舞ってはいたが実際、死との隣り合わせの場所へとこれから行かうのに怖くないはずはないのに・・・
一人、色々と思案していると遠くから何か騒がしい音が聞こえてきた。
ガシャン、ガシャンと何処かで聞いたような音がだんだんとこちらに近づいてくる。
ロイはふと『何だ?』と疑問に思っていると突然ノックもなしに扉が開けられ同時に声が飛び込んできた。

 「大佐!!」

そこに入って来たのは自分が先程まで考えていた少年の弟だった。

 「アルフォンス、どうしたんだね?こんな遅くに」

ロイは大体の予想はついてはいたがあえて本人に問いかける。

 「兄さんから聞きました。どうして、兄さんが!!」

アルフォンスの言葉にロイは一つ溜め息を吐く。

 「鋼のから聞いたとおりだよ。命令が下った。それだけだよ」

 「でも!!」

納得できないといった様子でアルフォンスはそれでもロイに食い下がろうとする。そこへ後を追いかけて来たエドワードが部屋へ飛び込んだ。

  「アル! いきなり飛び出すことないだろ。悪かったな・・・大佐、ほら帰るぞ」




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