第2書庫

□屍の上に立つ兵器
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爆音・銃声などで絶命していく人の声がエドワードの失っていく理性にさらに拍車をかけた。
それは言わば人を殺すという罪の感覚が麻痺していくようで自分が何のために此処に立っているのかをわからなくなるような・・・・・・・






4.屍の上に立つ兵器






エドワードたちの活躍のお蔭で戦場は終局へと近づいていた。
反乱分子の抵抗も着実に弱まっておりこのまま行けば間違えなく軍の勝利だ。
エドワードが倒れて以来、ロイも一緒に行動するようになり二人で確実に錬金術を使い屍の山を築いていく。
それは兵士からすれば戦神のようで士気上げる形となり一方、敵からすれば戦う気力を失わせる要因ともなった。

 「鋼の、私は向こうを片付けてくるからこっちの方を頼む」

エドワードはロイの言葉に無言で頷く。
一人にすることに幾分か不安があるがこの戦局を早く終わらせるためやむ終えない選択であるため気持ちを切り替える必要があった。

 「いいか? 私が戻るまで絶対に死ぬな」

 「大丈夫。そんなヘマしないから」

ロイを心配させないため無理に笑顔を作りエドワードは返事を返した。
そんな様子に不安があるがロイは早々に持ち場へと去った。

 「大丈夫・・・オレは死なない。片っ端から殺していく・・・」

エドワードはロイの後ろ姿を暫見送ると危うい思考の中ポツリと呟くと目の前の敵を倒すため戦場を駆けた。
それからは一人、エドワードは無我夢中で屍の山を築いていった。
機械鎧(オートメイル)を錬金術で刃へと練成し自分の服を・・・大地を血に染めていった。
そこにいるのはただ、兵器として動くエドワードでしかなかった。


※※※


それから暫くしてロイがエドワードの元へ戻るとその惨状に言葉を失った。

 「大丈夫かっ!? はが・・・ね」

エドワードの無事を確認するためエドワードの居る場所へ辿り着き、声をかけようとしたができなかった。
確かに本人の宣言どおり生きていたがエドワードの周りには数え切れないほどの人の山があった。
大地も血の色へと色を変えており地面がぬかるんでいるようにも思える。
そして、そこに立つエドワードからは一切の感情が見えず屍の上に立つ兵器のような雰囲気があった。
とロイが帰って来たことに気付きエドワードが振り向いた。

 「あ、大佐。そっちは終わったのか?」

その言葉はいつものエドワードとまったく変わっておらずロイはそのギャップに少々、混乱を起こしていたがなんとか返事を返すことができた。

 「あ・・・あぁ、こちらの方も大分片付いた」



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