第2書庫

□2.鋼VS焔・・・?
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仮眠室であった出来事からエドワードは逃げるようにイーストシティーを出で三ヶ月あまり経った。




2.鋼VS焔・・・?





 「・・・遅い」

東方司令部、事実上司令官であるロイは不機嫌丸出しで頬杖付き空いた左手の人差し指でデスクを叩いていた。
しかもその場所がいつもの執務室ではなく司令室。
そこには、言うまでもなくロイの部下達が居るのが当たり前で仕事もせずにイライラしている上司に皆、内心溜め息を吐きその一人であるくわえタバコの男−−ハボックが面倒臭そうに上司の副官であるリザに尋ねた。

 「中尉・・・なんスかアレ?」

小声で問いながらハボックが上司であるロイを指差すと問われたリザはちらりと差す方角を見て盛大に息を吐き出した。

 「・・・ただの欲求不満よ。無自覚なだけあって質が悪いわ」

ハボックはリザの言葉に一瞬、理解できずにいたがふとロイの行動の始まりを思い出し即座に理解した。

 「あー・・・そういや、大将が此処を飛び出して三ヶ月ぐらいになるっスね・・・」

あの時、いつもなら出発前に顔を出すはずのエドワード達が何故か何も言わず此処を飛び出して行ったのだ。
皆、その行動に首を傾げている横でいつも以上に不機嫌な上司を目にし直感的に何かあったと思ったのだ。しかし、その理由を聞けばどうなるのかは火に油をそそぐようなもので自分達に危害が及ぶのは考えずともわかる事なので皆、気付かぬ振りをしていたのだ。
だが、何時までもこの状況では流石に不味いよなぁとハボックは考えていると突如、上司が動き出した。
電話を取り何処かに掛けているが何処と無くロイの目が怖い。

 「中尉・・・あれって・・・」

怖いが気になる為、取り敢えず一番ロイの行動をよく知っているであろうリザにハボックは問うとそのリザは頭痛がするのか顔をしかめ親指で眉間を押さえていた。

 「国家錬金術師機関に連絡してエドワード君の口座停止でもしたのでしょう」

 「ありゃ〜・・・」

ロイの実力行使にハボックは呆れた声をあげたのだった。



■□■□■



 「口座停止!?」

にこやかな笑みを向ける受付業務員である女性の言葉にエドワードは声をあげた。

 「はい、東方司令部のマスタング大佐より『至急、司令部へ戻って来い』との伝言を預かっております」
ショックを受けるエドワードに止めと言わんばかりの伝言を営業スマイルで告げる女性はエドワードにとってさながら悪魔に見える。
そんなエドワードを見兼ねたアルフォンスはエドワードの肩に手を置き問うた。

 「月一の定時報告入れてたんじゃないの、兄さん?」

毎回、旅が長期に亙る場合は月一に電話で報告を入れるようにロイと約束をしていた。
それを怠らない限り三ヶ月、半年、旅に出ていようが口座停止という事にはならないのだ。
だから、今回の原因は報告をエドワードが怠ったのではとアルフォンスは思ったのだ。

 「してたよ!」

しかし、アルフォンスの予想は大いに外れエドワードは心外だと言わんばかりに声を荒げた。

 「じゃあ、何でこうなるの?」

 「・・・・・・」

では、どうして口座停止になったのだとアルフォンスが問うもエドワードは無言でアルフォンスから目を逸らした。
エドワードのその行動に何かあるなとアルフォンスは悟ると取り敢えずこのような公の場で話を進めるわけにもいかないと判断しエドワードの手を取り滞在している宿へと引き返す事にした。



 「で、何があったの?」

宿へ引き返し、今現在アルフォンスに問いただされているエドワードは宛がわれている部屋のベッドに俯せで枕に顔を埋めていた。
しかし、それをアルフォンスが許すわけはがなく非難めいた声を発した。





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