第2書庫

□召集令状
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 「・・・・・・召集令状って・・・」
エドワードはその紙に書かれている文字に驚きを隠せなかった。そこに書かれていたのは――

 『召集令状
 大総統の名において、鋼の錬金術師―エドワード・エルリックと焔の錬金術師―ロイ・マスタング大佐に北方内乱鎮圧戦に参加することを命じる。
                        大総統―キング・ブラットレイ』

 「現在、何部隊か鎮圧に参加しているんだが状況が一向に好転しないどころか、圧されているとの報告を受けている。そこで今回、大総統が国家錬金術師を投入を許可し、鋼の・・・・・・ 君と私に命令が降りたということだ」
ロイはエドワードにこれまでの状況を説明しながら様子を伺うが令状を見つめている為、前髪でエドワードの表情は読み取れずロイはこんな子供までも戦場に向かわねばならないことになんともいえない気持ちになった。
 「了解。で、出発は何時なんだ?」
何事もなかったようにロイに今後の話を進めていく。その姿にロイは眉をひそめた。
 「鋼の・・・・・・」
 「アルの為にも早くこんなこと終わらせて旅を続け――っツ!?」
エドワードが言葉を続けようとした瞬間、間の前が青に染まりロイに抱きしめられたことに気付いた。
 「無理をするな」
 「無理なんてしてねーよ・・・ 軍の狗になった時点で覚悟はしてたし寧ろ、今までなかったことが不思議なくらいだ」
エドワードはロイの胸を両腕で押し、離れることを促すと悲しそうな瞳で告げ、ロイはそれを無言で聞いていた。
 「それに、行くのはオレ一人じゃなくて大佐もだろ? オレの心配するより自分の心配しろよ。お偉いさん方の思惑通り戦死しねーように気をつけろよ」
そう言うと先程見せた表情から一変してロイに笑顔を向け、皮肉を言ってみせるエドワードの姿にロイは苦笑した。
 「君に言われなくともそう簡単には死んでやらないさ。君もまだ、目的を果たしていないんだ、お互い無事に帰ってくるよう努力しよう」
 「何言ってるんだよ・・・努力じゃなくて帰ってくるんだ」
エドワードは呆れた様子でロイを見ると溜め息を吐いた。
 「そうだな・・・ 二人で帰ってこよう」


切なる願いをこめて――


1.召集令状【完】

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