第2書庫
□失っていく理性
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ロイは一瞬エドワードだとわからなかった。
帰還した部隊を引き連れ歩いているエドワードは身体中を血で染めていて金色の髪がくすんだ色を放っていた。
そして、目もどこか虚ろで今にも消えてしまいそうな印象を持っていた。
「第三部隊只今、帰還いたしま・・・」
ロイに報告を告げるため発した言葉は言い終わることなくエドワードは倒れた。
それに愕き、ロイは慌ててエドワードを抱きとめた。
「鋼の!?」
突然、倒れたエドワードに声を掛けると同時にどこか怪我をしているのか一緒に帰還してきた下士官に問いかけた。
下士官も驚いておりロイにそれは無いと答え、ロイは一先ず安堵した。
怪我をしていないということは緊張の糸が切れてただ倒れただけだ。
休ませれば大丈夫だろうと判断し後はこちらで何とかすると下士官に伝えると帰還したばかりの兵を少しでも休ませるため話を打ち切った。
「ん・・・ここは・・・・・・」
それから暫く経ってエドワードは目を覚ました。
覚醒してまだ、時間が経っておらずエドワードは自分の居る場所がいまいち、把握できず場所を確認するため辺りを見回した。
とそこへちょうどロイがやってきた。
「目を気がついたかね?」
「オレ・・・・・・っ!! てっ敵」
エドワードは帰還してきたことを覚えていなかったようで慌てて飛び起きた。
そんなエドワードをロイは押さえた。
「大丈夫だ、君は帰ってきたんだよ。安心しなさい」
その言葉に我に返ったエドワードはなんとか気持ちを落ち着かせ、自分の身体を見た。
戦った時についてた返り血はついておらず、ロイがしてくれたのだと気付く。
「ゴメン・・・オレ・・・・・・・」
「気にするな、君も疲れていたんだ。今はゆっくり休みなさい」
エドワードにそう言葉を掛けるとロイはエドワードをゆっくり休ませるため、再度ベッドに横になるように促した。
エドワードも相当疲れていたようでロイに促されるままそのまま瞼を閉じた。
また、安らかな寝息をたて始めたエドワードを見て、ロイは身体の中に溜まっていた息を吐いた。
エドワードが血まみれで帰ってきたときは心臓が止まるかと思った。
どこか怪我をしたのではないかと・・・
しかし、目だった外傷は無くそれが返り血だと気付いたときは内心ほっとしたと同時にとうとう人を殺めてしまったことに少なからずショックはあった。
でも、戦場というこの特殊な場所で人を殺さないでいることはまず無理な話だ。
エドワードはどう思っているかはわからないがロイはエドワードがとにかく生き残ってくれればいいと思った。
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