第2書庫

□失っていく理性
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ロイは抱きしめている腕にさらに力を込めエドワードを抱きしめた。
そして、そんなロイの行動にエドワードは逆らうことなく抱きしめられていた。

 「そんなこと言わないでくれよ・・・ 今、オレは自分の意志でここに立っているんだ。大丈夫だ・・・ だから今は兎に角無事に帰ろう。みんなの所へ」




それからエドワードたちは夜が明けるとともに戦場を駆けた。
ただ、がむしゃらに無事帰ることを願って・・・・・・・

 「少佐!! 援護をお願いします!」

 「わかった!!」

下士官の要請に答え援護にまわるエドワード。
そして、その度に流れる血に気がどうにかなりそうになる。
それは、理性にも影響を及ぼしそうではっきりいってエドワードは怖いと思った。
感情を押し殺してただ、敵を倒していく。
相手は化け物でも合成獣(キメラ)などではない
自分と同じただの人なのだ。

 「大丈夫か? 鋼の」

あの日以来、ロイはエドワードと同じ部隊に入り、エドワードを守るように戦場を駆けていた。
どこか不安定な感情を見せるエドワードが心配になり上司に申し出たのだ。
最初のうちは指揮官も渋っていたのだが最前線で戦うことを引き換えに一緒に行動することを許したのだ。
激戦区ともいえるその場所に立つということはそれだけ人を多く殺すことになるのだがそれよりも今はエドワードから離れることは得策ではないと考えたのだ。

 「大丈夫・・・ 大丈夫だから」

自分に言い聞かせるような言い方に内心不安が募る。
しかし、今はこの場を乗り切ることが最優先事項であってどうにかエドワードに危害が加えられないようにするのが必死。

 「わかった・・・無理をするな」

そう声を掛けるのが精一杯だった。


この時、気付いてあげればよかったのにとロイは後悔することなろうとは――




少しずつエドワードの理性が失われることを・・・・・・




失っていく理性【完】


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