第2書庫
□屍の上に立つ兵器
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そして、ロイはそこで一度言葉を切ると言いにくそうにでも、言わなければと思う気持ちを動かしエドワードに問いかけた。
「これは・・・君一人でやったのか・・・?」
ロイの言葉にエドワードはきょとんとしたこの場にはそぐわないあどけない表情で首を傾げた。
「そうだけど、それがどうかしたのか?」
言っている意味がわからないといたった様子でエドワードは答えた。
ロイはその言葉を聞いて苦痛の表情を浮かべ、その様子を見ていたエドワードはさらに首を傾げロイの傍へと寄ってきた。
「どうしたんだ? 大佐、なんか辛そう・・・どこか怪我でもしたのか?」
エドワードはそう言うとロイの頬へと手を伸ばそうとしてそこで手を止めてしまった。
今気付いたが自分の手は先程の戦闘で血まみれでロイの顔を汚してしまうと思い、躊躇してしまった。
そして、再度認識してしまう。
忘れてしまった理性が呼び戻され自分がとんでもない過ちをまた犯してしまったことに気付く。
エドワードの様子がおかしいことにロイは気付き顔を上げるとエドワードは直ぐに顔を背け手を隠した。
「鋼の?」
「ッつ!!」
ロイの声にエドワードは一瞬肩を震わせた。
エドワードの様子に訝しげにロイは見て、その瞳に耐えられずにエドワードは震える声を叱咤して言葉を紡いだ。
「オレ・・・・・・またッ」
エドワードの途切れた言葉でロイは瞬時に理解した。
戦場だからという言い訳では許されないほど人を殺してしまったことに対してエドワードは言っているのだ。
一人の一生を瞬時に奪ってしまった。
誰よりも人の命の尊さを知っている子供の苦痛の表情を見てロイは言葉を失った。
自分の経験したことなのに何も言えない。
「いくら戦場だからといって・・・殺していいはずじゃないのに・・・・・・ッ! オレ、また殺したよ!!」
エドワードは自分の体温の違う血まみれの両手を震えながら見つめて叫んだ。
その痛ましい姿に咄嗟にロイはエドワードを抱きしめた。
「鋼の・・・いや、エドワード今は考えるな! 帰ることだけを考えろ!! 弟が待っているのだろ?」
ロイの言葉に焦点の合っていない瞳が見開かれる。
ロイの正気を取り戻せという言葉にエドワードは我に返る。
「とにかく今は生きるんだ。考えるのはそれからだ。そうしないと命を落とすぞ。エドワード、君は弟の・・・いや、自分たちの身体を元に戻すのだろ? だから、生きろ!」
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