第2書庫

□屍の上に立つ兵器
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そして、ロイはエドワードの強い眼差しに苦笑を浮かべた。

 「まったく君は・・・痛いところを衝いてくるね。確かに私は軍人である前に人だ。大丈夫と言っても耐えられないこともあることは確かだ」

 「だったら・・・」

 「でもね、そんなこと気にしている余裕なんてないよ・・・こんな場所に来ればなおさらね・・・だから、君に私は大丈夫だと言ったのだよ」

ロイの言葉にエドワードはなんと言葉を発したらいいかわからなくなり口を閉ざした。

 「君が心配することじゃない。今は生きることを考えよう」

ロイはそう言ってエドワードに微笑みかけると駐留所に戻るため歩を進めた。
そして、その行動にエドワードも慌てて後を追いかけた。

 「あっ、ちょ・・・待てよ! 先に行くな」

確かに軍人である前に人であるが今、自分は兵器としてここに立っている。
早くこの戦局を終わらせるために人を殺し続けなければならない。
だから、この子供にこれ以上自分と同じ道を味あわせないためにも早く終わらせなければロイはふと一人物思いに更けながらふと思った。
そうこうしているとエドワードが追い付き声を掛けてきた。

 「おい、なに考え事してんだ。そのうち倒けるぞ」

その言葉にロイは我に返るとエドワードを見下ろした。

 「鋼の」

突然、自分を見て名前を呼ぶロイに顔をしかめた。

 「なんだよ」

その様子にロイは微笑むと言った。

 「早く、司令部に帰ろうな」

その言葉にエドワードは目を見張り、驚くと直ぐに笑顔になり

 「おう、さっさと終わらせて帰ろうぜ」

二人はそうやって他愛もないことを語りながら駐留所へと戻って行った。



それから一週間後、ロイやエドワードたちの活躍により戦局は軍の圧倒的な勝利によって終わった。




屍の上に立つ兵器【完】




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