第2書庫
□この手にあるのは儚き祈り
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エドワードの言葉にロイは喜んでいいものか怒った方がいいものか一瞬考えてしまい、そんなロイの無言に噴出してしまいロイはこれは怒った方がいいのかなと思ってしまった。
「・・・鋼の」
「だって、あんた俺の言ったことに悩んでいるみたいで想像したら・・・ぷっ、あはは!」
自分のことでそこまで笑うエドワードにロイは少し、不機嫌になったがそれでもこんな状態になったエドワードが笑って過ごせるのだったらいいのかなとも思い少し、嬉しい。
いつもは、会うと直ぐに嫌味の言い合いで中々こんな話も出来ず直ぐに旅に出てしまう少年とこんなに他愛もない話が出来たことが自分も嬉しかった。
「まぁ・・・君が楽しんでくれたんだったらいいか」
ロイはポツリと呟きその呟きに気付いたエドワードはロイを珍しいもののように見た。
「あんたがそんなこと言うとは思わなかった。いつも、人を馬鹿にするようなこと言うのに・・・なんか変な物でも食ったんじゃねーか?」
エドワードはロイにお腹壊してないか?などとロイにとっては失礼なことばかりを言う。
そんな、エドワードにロイは言わなきゃよかったと内心溜め息をついた。
「君ね・・・人が言った言葉に普通そこまで言うか? まぁ、その姿の方がいつもの君みたいでいいが・・・なんだ、皮肉でも言って欲しかったのか? 相変わらず豆だね、鋼のとでも」
「だれが豆粒ドちびかぁぁ―――!!」
ロイの言葉にエドワードは叫び、ロイはそのエドワードにそこまで言っていないだろ・・・と呆れたように呟いた。
そこへ花瓶を持って戻ってきたアルフォンスは驚いた。
「兄さん! 病院なんだから静かにしてよ外まで聞こえてるよ」
「・・・ご、ゴメン」
アルフォンスの言葉にエドワードは素直に謝りその姿を見て今度はロイが笑った。
どうもエドワードはアルフォンスに頭が上がらないらしい。
そして、ロイの声に気付きエドワードは怒鳴った。
「笑うな!」
「兄さん!」
アルフォンスはまた、即座に注意した。
「くっくっ・・・いつもの君に戻ったね」
「いつものオレってどういう意味だよ・・・」
エドワードは不機嫌そうにロイを見た。
そんな姿のエドワードを見て笑みを向けながら
「それぐらい元気があれば大丈夫だな。アルフォンスも大変だな。こんな兄を持って」
突如、振られたアルフォンスもロイに同意した。
「はい、いつもこんな調子で・・・」
「だから、どういう意味だよ!」
エドワードはアルフォンスとロイだけで会話がなされていることに腹を立てて叫んだ。
そんなエドワードを二人は見て苦笑した。
「君が天邪鬼と言っているのだよ。少しは素直になりなさい」
「なっ!?」
エドワードはロイの言葉に顔を真っ赤にして口をパクパクしてロイを指差した。
「ッ・・・オレは天邪鬼じゃねぇぇ!!」
「兄さん・・・そういう所が天邪鬼って言うんだよ・・・」
アルフォンスは呆れながらエドワードに言った。
体があれば溜め息すら出ていただろう。
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