第2書庫

□この手にあるのは儚き祈り
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それを聞いているのかいないのかエドワードは今にもロイに飛び掛らんという勢いでジタバタ暴れており、それをアルフォンスは後ろから羽交い絞めにしていた。

 「もう・・・兄さん落ち着いてよ」

 「落ち着いていられるか! 一発、ボコらないと気がすまねぇぇー!!」

エドワードはまだ、怒りを静めることが出来ずジタバタ暴れており、その姿を見てロイは笑った。

 「それだけ元気があれば大丈夫だな」

いつもは言わない言葉をエドワードは聞いてしまいぱたりと暴れることを止め呆気にとられたようにロイを見た。
そんな、エドワードの態度をロイは訝しんだ。

 「なんだ・・・その反応は」

その言葉をエドワードは聞いているのかいないのかロイを無視してホークアイに話しかけた。

 「大佐、変な物でも食ったのか? 中尉」

 「いえ、そんなことは無いのだけれど・・・」

そんな二人のやり取りにロイは眉間にしわを寄せた。

 「なんだね。そのやり取りは」

しかし、エドワードはさらにロイを無視して言葉を続ける。

 「食べてないとしたら頭でも打ったのか?」

 「いえ、それも無いはずだから素じゃない? 明日は雨かしら」

 「違いない。うわー、どうしよう。オレたちまた、旅を続けようと思ったのに」

 「あら、私たちも大佐が無能になってしまうから大変だわ。今日は明日の分まで頑張ってもらわないと」

そういいながら二人は本当に困ったという様子で語り続ける。
それをロイはなんとか止めねばと思い声を掛ける。

 「君たちは一体、私をなんだと思っているんだ・・・」

ロイの声にやっと気付いた二人は真顔で言った。

 「雨の日無能」

 「冷血男」

前者がホークアイで後者がエドワードだった。
エドワードの言った言葉の方がロイにはもっともきつかった様で地べたに両手付いて泣きそうな勢いだ。

 「君たちが普段、私のことをどう思っているのかよくわかったよ・・・」

そんなロイの姿にエドワードたちは流石に苛め過ぎたかと思った。

 「まぁ、冗談はさておき報告に来たんだけど大佐」

エドワードはバツが悪そうにロイに話しかけた。

 「冗談にしては随分、色々と言ってくれた気もするが・・・」

ロイは未だに根に持っている様子で答え、渋々エドワードを執務室へと促した。
アルフォンスはエドワードが報告するため、司令部で他の軍部の面々と次の目的地についてなど色々と話をして待っているということとなった。




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