第2書庫

□嵐の一日
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 「で? それが今、なんの関係があるんだよ」

エドワードはロイの説明に心底つまらなそうに言った。
すると、ロイはあからさまに溜め息を吐くとエドワードへと言った。

 「全く・・・君は普段は聡いくせにこういう時には鈍い。今日がその日なんだよ」

エドワードはロイの言葉に一部カチンとくるものを感じたが敢えてそれを流し、問い返した。

 「それが今日だっていうことはオレも知ってるよ。だから、それが今、なんの関係があるんだって言ってるんだよ」

 「わからないのかね?」

 「わからないから聞いてんじゃねーか」

エドワードは先の見えぬ話に段々、不機嫌になってきた。
一方、それを知るや知らずやロイは聞いてくるエドワードに満面の笑みで言った。

 「好意を持っている人に貰いたいじゃないか。だから・・・」

ロイはそう言うと笑顔でエドワードへと手を出した。

 「は? なんだよ、その手は」

 「わからないのかね? 私は鋼の、君から貰いたいと言っているんだ」

 「は?」

エドワードはロイの言っている言葉が理解出来ず口を開けて固まってしまった。
そして、内心コイツ馬鹿か? と思いながらなんとか言葉を発した。

 「あんた・・・それマジで言ってるの?」

 「冗談でこんなことは言わない」

至って真面目だと言うロイの姿を見てエドワードは今度こそコイツ本当に馬鹿だと思った。

 「あんたさ〜、女性から沢山貰ってるんだろ? ならなんでまた、男のオレに催促するんだ?」

 「だから、さっきから言っているだろ。好意を持つ人から貰いたいと・・・男とか関係ない。君だから言っているんだ。それに、今年は誰からも貰っていないよ」

開いた口が塞がらないとはまさにこのことだろう。
エドワードはロイの言葉があまりにも衝撃的で口を大きく開けたまま固まった。
そんなエドワードの様子を見てロイは笑うと再度、エドワードへと手を出した。

 「で、くれるかね?」

ロイがそう問うとエドワードは我に返り慌てて言った。

 「持ってきているわけねーじゃん。第一、好きな人にやるんだったらオレから貰うんじゃなく大佐があげる側じゃないのか?」

エドワードがそう言うとロイはなるほどと呟くと一人、ブツブツと言い出した。
その姿をエドワードは暫く見物していると考えが纏まったのかロイがエドワードへと視線を向けた。
その視線にエドワードはなにか嫌なものを感じソファから立ち上がった。

 「確かにそれは一理あるな。しかし、私も今回はチョコを用意していなかったのでな」

ロイの言葉を聞いていくうちにエドワードの第六感が自分の身が危険だと叫び、ロイから離れるため一歩、後退った。




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