第2書庫

□2.鋼VS焔・・・?
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一人取り残されたエドワードはそのまま背を向けている窓へと振り返り外を眺めた。

 「考えろって・・・」

見たからといって考えが纏まるわけがない。
そうエドワードが思っていると練兵所へと少しずつ軍人が集まりだした。
皆が整列する頃にロイも現れ、その姿にエドワードは自分の胸元を無意識に右手で抑えた。
見ただけでこの状況だ。
会うなど到底出来るはずがない。
そんなエドワードの思いを余所に演習は開始された。
次々と軍人がロイへと向かって行く。

 「え?もしかして大佐一人で相手するのかよ??」

この状況にはエドワードも驚いた。
演習というよりはほぼ組み手に近い。
かなりの人数がいる状況でこれを一人で相手するなんてかなりの体力が必要だ。しかし、そこは経験の差なのだろう。
軍人達と演習しているロイのその姿は動きに無駄が無く、昔よく師匠が言っていた力の流れを上手く使い見ている方は言葉を無くす程綺麗な動きを見せてくれている。
そんな姿にエドワードは目を奪われた。
だから、気付くのが遅かった。
ロイがこちらへと視線を向けた気配にエドワードは慌てて気付き、咄嗟に隠れるようにしゃがみ込んだが既に遅し、様子を伺うようにそっと窓の外を見ると全員投げ飛ばしたのか一人、こちらを見ているロイと目が合った。



 「あちゃ〜・・・見つかっちまってるじゃねーか大将」

自分を投げ飛ばしたロイが視線を後ろへ向ける姿を見てハボックはしまったとばかり手で頭を押さえた。
まぁ、これもホークアイの計算の内だからいいのだが・・・
しかし、ロイの背中越しから発する空気にハボックは冷や汗をかいた。
多分、今のロイの表情は清々しいくらい笑顔なのだろう。
エドワードも顔を引き攣らせて固まっている。

 「あ・・・逃げた」

様子を見ていたハボックはつい言葉が漏れてしまった。
エドワードが逃げたのだ。
その姿を見ていたロイの空気が一気に変わりハボックはヤバイと本能的に一歩、後退してしまうほどだ。
もちろんたの軍人も同様だ。

 「あの豆・・・いい度胸じゃねーか」

 『あの・・・キャラ変わってますよ』とは誰も言えず、振り返るロイに軍人達が顔を引き攣らせた。
よからぬ事を考えている目だ。

 「今から急遽、予定を変更。犯人逃亡時の捕捉訓練を行う」

ほら、やっぱり・・・
全員が心の中で呆れるように溜め息を吐いた。
しかし、そんな軍人達の心中など気にしていないのかロイは言葉を続ける。

 「今からA〜Cに隊をを分け、現在逃走中の鋼の錬金術師を捕捉。門番にも連絡を入れろ。制限時間は30分、それまでに捕捉出来た部隊には三日の有休を与えよう。もし、誰も捕捉出来なかった場合は全部隊、減給だ」

ロイがそこまで説明をするとその言葉に全員が横暴だ!と批難の声を上げた。

 「ほう、そうか。全員減給になりたいのか。そうか、そうか」

ロイはその批難を気にする事なく笑みを湛え言葉を発するものだから軍人達も言葉を失った。
先程、逃げたエドワードの態度に相当キているようだ。
今、ここで逆らえば自分達の命はない。
そう思った軍人達は直ぐに三部隊に別れ整列しロイに向けて敬礼をする事で態度を示し、その姿にロイは微かに笑みを見せると言葉を発した。

 「ハボックはA部隊の指揮をとれ、他の部隊も指揮官の指示がうように。これはチームワークが物を言う。相手の行動、考えを意識して行動するよう心掛けろ。私からは以上、では作戦を開始する!」

 「「「Yes,Sir!!」」」

軍人達はその言葉に返事を返し、作戦を開始する為行動に出た。




何でこんな事になっているんだ!?

 「あっちへ行ったぞ!」





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